【転倒と筋力の関係について】筋力の低下は転倒のリスクです
筋力低下は転倒の危険を高めます。
筋力が低下している人は、低下していない人に比べ転ぶ危険が4.4倍です。
転倒の危険を高める要因(危険因子)
出典①:American Geriatrics Society, British Geriatrics Society,and American Academy of Orthopaedic Surgeons Panel on Falls Prevention: Guideline for the prevention of falls in older persons. J Am Geriatr Soc, 49: 664-672, 2001. より筆者が作表。
この出典は、転倒のリスクを調査した16本の論文をまとめてくれています。
結果を解釈すると、筋力が低下している人は、していない人より転ぶ危険が4.4倍高いということです。
転倒には色々な原因があります。
この出典によると、転ぶ危険を一番高めてしまうのは筋力の低下となっています。
筋力の低下は立ち上がりで判定する
次の問題は、筋力の低下をどうやって判断するのかということ。
それには次の論文が参考になります。
これは、上で書いた出典①が参考にしている論文です。
出典②:J W Davis et al: Risk factors for falls and for serious injuries on falling among older Japanese women in Hawaii. J Am Geriatr Soc. 1999, 47(7): 792-8.
この論文には、立ち上がるスピードが遅いと転ぶ危険が高くなると書かれています。
立ち上がるスピードが速いか遅いかを判断するために、5回立ち上がりテストが有用です。
▼参考記事
筋力を測定する機械は高価なのですべての施設で購入できるとは限りません。
個人で買うとなるとなおさらです。
- 何もつかまらず(手を胸の前で組んで)立ち上がることができるかどうか
この方法は簡単なのでオススメです。
立ち上がりのコツ
立ち上がりにはコツがあります。
立ち上がりのコツ5選
- 足をひらく
- 足を引く
- 身体を前に倒す
- その時、頭がちょっと下がるくらい前に倒す
- お尻が浮いてくるのを待ってから上に伸び上がる
立ち上がりが苦手な人ほど、足を前に出して、身体を前に倒さず上に伸び上がろうとします(経験上)。
すぐにお尻を浮かそうとしてしまうイメージですね。
重心が前にのっていないので、立ち上がり切れず後ろにバランスを崩します。
腰かけるときはドシンとならないように、ゆっくり腰かけてください。
ドシン座りは腰を痛める危険があります。
日常生活に何もつかまらない立ち上がりを取り入れることをオススメします。
意識しないと、テーブルやひざに手をついたり、イスの手すりを押したりしているのではないでしょうか。
まとめ
point
- 筋力の低下は転ぶ危険を4.4倍に高めてしまう
- 筋力の低下は立ち上がりで判断することができる
- 立ち上がりにはコツがある
- 日常生活では、何もつかまらないで立ち上がることをオススメする
参考論文
①
J M Guralnik 1, E M Simonsick, L Ferrucci, R J Glynn, L F Berkman, D G Blazer, P A Scherr, R B Wallace: A short physical performance battery assessing lower extremity function: association with self-reported disability and prediction of mortality and nursing home admission. J Gerontol. 1994 Mar;49(2):M85-94.
②
J W Davis et al: Risk factors for falls and for serious injuries on falling among older Japanese women in Hawaii. J Am Geriatr Soc. 1999, 47(7): 792-8.
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