【保存版】学会発表7ステップ《実践編》|統計が苦手な医療職・コメディカルが「初めてでも大丈夫だった」と言えるまで

2026/02/24

コメディカル向け統計 医療統計 学会発表の準備 初心者向け 統計の基本



はじめに:学会発表の不安、よくわかります

来年の学会発表お願いね!

いきなりの無茶振り…。
  • 「研究なんてやったことない」
  • 「そもそも学会って何するの?」
  • 「統計とか全然わかんない」
そんな気持ち、私も痛いほどわかります。

私自身も最初は、「倫理審査って何?」という状態から始まり、誰にも聞けずに孤独と絶望に押しつぶされそうでした。

この記事では、そんな経験を踏まえながら、

"7つのステップで、初学者でも学会発表が現実になる"

ことをめざし、さらに実践的な内容を追加しました。

✅いきなり学会発表を振られて困っているあなたに向けた記事になります。

統計解析についても、具体的にご説明いたしますので、ご安心ください。

最初の一歩を踏み出すための道しるべになれば幸いです。

Step1. 発表テーマを絞る(全部は語れない)

どんな研究をするのか方向性を決めていきます。
あれもこれも言いたくなる気持ちもわかりますが、ここではとにかく絞りに絞っていくことが肝心です。

言いたいことはたった1つに絞ります。
方向性を決めるために有用な方法を以下に書いていきます。
  • 同じ職場の過去の参加者にどんなことをやったのか聞く
  • 去年の学会抄録集を読んで、同じ職種の人の研究を見る
  • 日々感じている疑問を洗い出す
実は研究テーマって、特別なアイデアではなく、「日々の疑問」から生まれるものです。

たとえば…

- 「シャント管理が上手な人ってどういう傾向があるんだろう?」
- 「外来通院を難しくする要因に早めに気づけないのかな?」
- 「この患者さんたち、なぜこんなに筋力低下しているんだろう?」

「こんなテーマでいいの?」と思うかもしれませんが、実はそういう身近な疑問こそ、発表に向いています。

「これは伝えたい!」と思える1つに絞る
(複数あるなら一番“患者さんの変化”が見えた事例)

症例報告なら、成功だけでなく「試行錯誤したこと」「乗り越えた工夫」も価値あり

絞れないときは、信頼できる先輩や上司に「どっちが学会向きか」聞く

📌 意識すること:「完璧な研究」より「臨床から生まれた問い」

Step2. 倫理審査と研究計画(最大の壁)

テーマが決まってホッとしたのも束の間、「倫理審査」「研究計画」という、最大の壁がやってきます。
どちらも初学者には聞き慣れない言葉ですが、実は、しっかり順を追えば必ずクリアできます。

倫理審査

少し身構えてしまいがちですが、病院ごとに手順は整っています。

もし所属機関に倫理審査委員会がない場合、学会によっては手助けしてもらえます。
例えば、日本看護学会の場合、ホームページに以下のような記載があります。

第2条
研究倫理審査は、会員の所属施設等に研究倫理審査委員会がない場合、あるいは看護研究を扱っていない場合で、正会員が主たる研究者である研究に限って審査対象となる。 

いずれにしても、わからないことは、「先輩、上司に早めに相談」するのがポイントです。

同意書を取るなら、早めに取りはじめないと、データ集めの期間が短くなってしまいます。

わたしの病院では総務が倫理審査委員会を担当していたので、ある程度テーマが決まったあとにメールで確認を取りました。

📄倫理審査で提出を求められた資料(例:筆者の病院)

提出書類(内容のポイント)
  1. 申請書(倫理審査そのものの申請)
  2. 研究計画書(実施内容の詳細)
  3. 説明・同意文書(研究参加者に配布する資料)

2番の研究計画書を記載するにあたり、研究計画をまとめる必要があります。
記載方法は職場のテンプレートに従うとして、おおむね以下の情報が必要です。

【研究計画書に含める内容(例)】

研究課題(タイトル)

簡潔で、研究内容がわかるタイトル

背景と目的

なぜこの研究をするのか
先行研究との関係(ざっくりでOK)
この研究で何を明らかにしたいのか

研究方法

研究対象(患者さん、利用者さん、施設など)
対象者の選定基準・除外基準
データ収集方法(アンケート?観察?電子カルテ?)
分析方法(t検定?クロス集計?記述統計だけ?)

倫理的配慮

匿名性・個人情報保護の方法
インフォームド・コンセントの取得方法
不利益が起きないような配慮

研究スケジュール(ざっくりでもOK)

例:2025年8月 倫理審査通過 → 9月〜10月 データ収集 → 11月 分析 → 12月 発表

利益相反(COI)

研究に関して金銭的支援や利害関係がある場合は記載

Step3. データ収集

データ収集には大きく分けて「実測」と「カルテ情報」の2つがあります。

実測の特徴

- メリット:目的に合ったデータを取れる  
- デメリット:時間・手間がかかる、同意取得が必要なことが多い

実測する場合は、早めに動き始めてください。

カルテ情報の特徴

- メリット:すでにあるデータを使える  
- デメリット:記録が不正確な場合もある、条件に制限あり

どちらが良いというより、「何を調べたいか」で選ぶことが大切です。

Step4. 統計解析|安心安全のEZRを使用します

統計解析ソフトは「EZR」を使用します。

EZRは無料で使えるのに、信頼性バツグン。
統計初心者はとにもかくにも「EZR」を使うことを強く強くオススメします。

Q.普通の統計ソフトって高いのに、無料で大丈夫?
A.何の心配もいりません。学会発表や論文で何回も使われています。

EZRの使い方は👇の記事に詳しく書いています。
  

次に、取ったデータをエクセルにまとめます。



👆の画像のように

✅横:一番上のセルは、横一列に項目を列挙する。
 例)ID、氏名、性別、年齢、透析歴、糖尿病の有無、アルブミン、ヘモグロビン…

✅縦:各個人のデータを列挙する
 例)IDだったら、1,2,3,4…
  氏名だったら、Aさん、Bさん、Cさん…
  性別だったら、0,0,1,1,0…
   (女性0、男性1のように「0か1」で記入します)
  透析歴だったら、○日間、○ヶ月、○年○ヶ月…
   (どのように記入するかは先行研究を見て決めてOKです。)
  糖尿病の有無だったら、0,1,1,0,1…
   (糖尿病無し0、有り1のように「0か1」で記入します)

この形式でまとめれば、EZRにそのまま読み込ませることができます。

「うまく読み込めない…」
「どの列に何を入れればいいの?」

そんな方は、こちら👇で具体例つきで解説しています。

読み込ませる手順はこちら👇。

データをまとめる時のNG行動

  • データの下に平均値など、実測したデータ以外の数値を入れるのはNG
  • 途中で改行するのはNG
  • セルの結合は絶対NG

Step5. 抄録の構成と提出スケジュール(〆切厳守)

学会発表には、「発表抄録(アブストラクト)」の提出が必要です。

構成は多くの学会で以下の型が使われます:

- 【目的】
- 【方法】
- 【結果】
- 【考察】
- 【結論】

最初は難しく感じますが、過去の抄録集を読むことで、書き方のコツがつかめます。
過去の抄録集が職場にある場合はそれを読めばOKです。
ない場合は学会のホームページで公開されていることも多いので、確認してみましょう。

一例として、2025年の透析医学会の抄録集のリンクを👇に貼っておきます。


抄録は締切が早いことも多いので、スケジュールには要注意です!

Step6. スライドと発表原稿の準備(文字を減らす勇気)

抄録の提出が終わったら、いよいよ本番に向けての準備が始まります。

発表用のスライドと原稿作成です。

スライドは:

- 1枚1メッセージ
 ✔️伝えたいことは絞るように

- 文字を詰め込みすぎない
 ✔️読ませない
 ✔️文章の途中で改行しない

- 説明がなくても「伝わる」デザインに
 ✔️見てわかるように
 ✔️字の大きさは28~32ポイント以上
 ✔️字は大きいほど見やすいです

- オシャレを追求しない
 ✔️アニメーションは使わない
 ✔️強調色は1色(白背景なら赤色、黒背景なら黄色)

Step7. 練習&本番(緊張は味方に)

発表の前には、練習がオススメ。
練習は本番での再現性を高めてくれます。

- タイマーで時間を測る(ゆっくり話す)
- 職場で練習会があれば参加する(ここで質問対策ができる)
- パソコン操作にも慣れておく(本番は指が震えて誤クリックが多発します💦)

読む速さは、1分で1~2スライド。
本番はだいたいの人が早口になるので、ゆっくり話す練習を積んでおきましょう。

よく、アナウンサーの話すスピードが見本と言われます。
自分でやってみるとわかりますが、ゆっくり過ぎて発音やイントネーションが安定しなくなります。

そのため、何回も練習することをオススメします。

また、本番で原稿を読むのはあまりオススメしません。
原稿の内容をしっかり頭に叩き込みましょう。

想定外のトラブルもあるので、「予備のUSB」や「印刷した原稿」など、持ち物も確認しておきましょう。
事前にウェブでスライドを登録するシステムなら問題ありませんが、現地で登録する場合、USBを無くしたとか壊したとかも有り得るので、「予備のUSB」に加え、データをクラウドに保存しておくこともオススメです。

(別記事:「学会当日の持ち物チェックリスト」にリンク予定)

よくある不安と対処法(Q&A)|実務編

Q. 何から始めればいいのかわかりません…

A. まずは「何を一番伝えたいか」を1行で書き出してください。
テーマが曖昧なまま統計やスライドに進むと迷子になります。
“この患者さんから何を学んだか?”から始めると整理しやすくなります。

Q. データが少ないとダメですか?

A. 大丈夫です。1症例報告でも「意味ある気づき」があれば価値あり。
学会は必ずしも大規模研究だけの場ではありません。
現場での実践や工夫も、共有する価値があります。
完璧さより「現場のリアル」が評価されることも多いです。

Q. どの統計手法を使えばいいかわかりません…

A. まずはデータの種類と、比較したい群の数を整理します。
何がしたいのかが決まれば、使える手法はある程度絞られます。
迷ったら「研究デザインから逆算」するのがコツです。

そんな方は、こちら👇の記事からお読みください。


Q. 解析の結果、有意差が出なかったんですけど?

A. 学会発表は有意差を出すことが目的ではありません。
有意差が出なかったら、なぜ出なかったのか考察することに意義があります。
また、仮説通り有意差が出なかったのか、仮説に反して有意差が出なかったのかでも、大きく違ってきます。
いずれにしても、考察し、今後に活かしていくことが大切ですので、目先の有意差に惑わされないようにしてください。

また、有意差を出すためにデータを抜いたり、いじったりするのは絶対にNGです。
よく聞くのが、「この人がいなければ有意差出るのにな~」です。
もう一度言いますが、有意差を出すことが目的ではありません

Q. スライドは何枚くらいが適切?

A. 目安は「1分1枚」。
7分発表なら7〜10枚程度。
情報を詰め込むより、伝わる構成を意識します。

Q. 他職種との共同発表でもいいの? 

A. 1職種でできることは限られています。例えば、栄養と運動を組み合わせてみる。
多職種連携の視点は学会でも注目されます。

Q. 発表後に質問が来るのが怖い… 

A. です。
質問されるということは、それだけ内容が伝わったということです。
それだけ素晴らしい発表をしたということ。
何言ってるのかわからなかったら質問しようがありません。
最悪なのは関心を持たれないことです。
ここは発想の転換が必要です。
ある程度質問の内容を予測しておきましょう。
通になると、あえて発表に穴を作っておいて、そこに質問が来るよう誘導します。

Q. 厳しい質問をされたらどうすればいい?

A. まずは「ご指摘ありがとうございます」と受け止める。
その場で答えられなければ「今後の課題として検討します」で問題ありません。
防御的にならないことが大切です。

Q. ボロボロだったらどうしよう…

A. 発表後に自分だけが反省会をしています。
周囲はそこまで覚えていません。
次に活かせば、それは失敗ではなく経験です。

よくある不安と対処法(Q&A)|メンタル編

Q. 自分なんかが発表していいのかな…

A. その感覚がある人ほど、誠実な発表をします。
学会は「すごい人」だけの場所ではありません。
現場で悩みながら向き合った経験こそ、共有する価値があります。

Q. 周りの発表がレベル高すぎて落ち込みます…

A. 比べる対象を間違えています。
ベテランの完成形と、自分の初挑戦を比べる必要はありません。
大切なのは「昨日の自分より成長できたか」です。
比べるのはいつも、過去の自分です。

Q. 緊張で頭が真っ白になったらどうしよう…

A. 真っ白になる前提で準備します。
最初の2〜3文だけは確実に言えるようにしておく。
出だしが乗れば、その後は流れに乗れます。

Q. 失敗したら評価が下がりませんか?

A. 一度の発表で評価は決まりません。
むしろ「挑戦した人」として記憶に残ります。
発表しないことの方が、長期的には機会損失になります。

Q. 批判されたら立ち直れません…

A. 批判と改善提案は別物です。
学会での質問の多くは「より良くするための視点。」
人格否定ではありません。
全部を受け止める必要はなく、必要な部分だけ持ち帰れば十分です。

Q. 正直、やりたくないです…

A. それが本音だと思います。
多くの人が同じ気持ちで壇上に立っています。
終わったあとに「やってよかった」と思える確率は、想像より高いです。

Q. うまく話せなかったら恥ずかしい…

A. 聞き手は内容を聞きに来ています。
多少つまずいても問題ありません。
誠実さは、言い淀みより強い印象を残します。

Q. 何日も前から憂うつです…

A. それだけ真剣に向き合っている証拠です。
準備を進めることで不安は少しずつ減ります。
不安ゼロを目指さなくて大丈夫です。

学会発表は「うまくやること」よりも「経験すること」に価値があります。
完璧でなくて大丈夫。準備を積み重ねれば、必ず形になります。

おわりに:あなたの一歩を応援しています

ここまで読んでくださり、本当にありがとうございます。

私も最初はまったくわからず、失敗もたくさんしてきました。
でも、小さな疑問を形にしていく楽しさに気づいてからは、発表が「ちょっと楽しいもの」に変わりました。

このブログでは、今後も統計解析の方法(EZRの使い方)や抄録のコツなど、実践的な内容を発信していきます。
一緒に、少しずつ前に進んでいきましょう!

応援しています!

運営者プロフィール

本サイト「理学療法士かずの評価と統計のやさしい処方箋」は、理学療法士かずが運営しています。

臨床経験を生かしつつ、学会発表や統計の学びに役立つ記事を執筆しています。
「難しそう…」を「やってみよう!」に変えるきっかけをお届けします。


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