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統計解析における『対応のある・対応のない』を具体例を交えて徹底解説

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t検定について調べていて、「対応のある」とか「対応のない」とかの言葉が出てきて意味不明だと思ったことはありませんか? 実は、この区別さえわかれば統計の半分は怖くなくなります。 今回の記事では「対応のある」と「対応のない」を具体例を交えて徹底的に解説してまいります。 「対応のある・対応のない」を具体例を交えて徹底解説 対応のあるとは? 同じ対象 を2回測定する or 同じ人 から複数条件のデータを取る場合 例: リハ前後で筋力を測定 右手と左手の握力 同じ患者に2種類の訓練を行った結果 歩行訓練前後でのタイム 同じ患者の右足 vs 左足筋力 リハビリ前後の歩行速度 リハビリ前後の立ち上がり時間(TUG) リハビリ前後の握力 リハビリ前後のバランス評価スコア(BBS) 左右脚の筋力測定(同じ患者の右脚と左脚) 左右手の握力比較 透析前後の血圧測定(同じ日に) 透析前後の体重変化 透析前後の血糖値(糖尿病併存例) インスリン投与前後の血糖値(同一患者) 運動療法前後のHbA1cの変化 透析前後の疲労感(VAS) 透析前後の運動耐容能(6分間歩行距離) 糖尿病患者の食事前後の血糖値測定(同日) 同じ患者の朝・夜の血圧測定 同じ患者の右手・左手の関節可動域(ROM)測定 リハビリ前後のVASによる痛み評価 腎臓病患者の投薬前後の尿蛋白量測定 同じ患者の左右足の足趾屈筋力測定 透析治療前後の心拍数測定(同一セッション内) 対応のあるデータを比較するときに参考になるフローチャート 対応のないとは? 別々の集団・別の対象 を比べる場合 例: 男性群と女性群の歩行速度 若年群と高齢群のバランス能力 A病棟 vs B病棟の平均在院日数 運動器リハ vs 脳血管リハの比較 患者群と健常群 糖尿病無し群 vs あり群の平均年齢 男性群と女性群の歩行速度比較 若年患者群と高齢患者群の立ち上がり時間(TUG)比較 脳血管疾患リハ群と運動器疾患リハ群の握力比較 運動療法群と非運動療法群のバランススコア比較(BBS) 透析患者群と非透析腎臓病患者群の血圧比較 糖尿病患者群と非糖尿病患者群のHbA1c比較 1病棟と別病棟の歩行能力比較 インスリン...

EZRでt検定を行う前に知っておくべき2つの前提|対応の有無と平均値の意味を理学療法士がやさしく解説

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はじめに 「統計のことはよくわからないけど、t検定だけは聞いたことある」 「EZRを入れたけど、どこを押せばいいのかわからない…」 そんなふうに感じたことはありませんか? EZRは、クリック操作だけで簡単にt検定ができます。 難しい数式を覚える必要もなく、結果も自動で表示してくれるんです。 ですがt検定を行う前に知っておくべき大前提があります。 ここを間違うと結果も間違います。 この記事では、EZRを使ってt検定を行う前に知っておくべき大前提を、統計が苦手な方でも安心して実践できるように、やさしく丁寧に解説します。 最後までお読みいただければ、次の画像の意味が分かるようになります。 一緒に、統計の「最初の壁」を越えていきましょう。 EZRでt検定を行う前に知っておくべき2つの大前提 対応の「ある」 vs 対応の「ない」 平均値が意味のある数値 この2点を解説します。 まずは、対応の「ある・なし」について解説します。 t検定における対応の「ある・なし」とは? t検定には「対応のある」「対応のない」の2種類があります。 どちらを使うかは、“同じ人を比べているのか、違う人を比べているのか”で決まります。 同じ人の「前後」 を比べるなら 『対応あり』 「別々」のグループ を比べるなら 『対応なし』 この区別を正しく行うことで、検定結果の信頼性が大きく変わります。 つまり、「対応のある・なし」を選ぶことは、単なる操作手順ではなく、研究デザインそのものを正しく理解する行為なのです。 🧩 1. 定義の整理 👥 2. どちらを選ぶかの判断基準 ✅ 対応のあるt検定を使うのは… 「同じ人」 を2回測定したデータの場合。 例: 介入前 vs 介入後の歩行速度 利き手 vs 非利き手の筋力 同じ患者の現在 vs 1年後 🔹根拠: 同一人物の「変化」を評価する場合、個人差(ばらつき)を打ち消す必要があります。 対応のあるt検定は「各ペアの差(差分)」を分析対象にするため、個体差の影響を除いて介入や条件の違いによる変化を正確に評価できます。 ✅ 対応のないt検定を使うのは… 比較する2つの群が 「別の人たち」 で構成されている場合。 例: 男性群 vs 女性群 リハビリ介入あり群 vs なし群 右麻痺群 vs 左麻痺群 🔹根拠: 2群のデータが独立(=片方の値がもう一方に影響しない)...

SPPB(Short Physical Performance Battery)の測定方法を理学療法士が解説

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はじめに 「SPPBってよく聞くけど、どんな評価?どうやって使うの?」 そんな疑問を持つ学生さんや新人スタッフに向けて、SPPBの基礎をやさしく解説します。 SPPBとは? 正式名称 ✅ Short Physical Performance Battery  (ショート フィジカル パフォーマンス バッテリーと読みます) ✅頭文字を略して『SPPB(エスピーピービー)』です。 ✅高齢者の下肢機能を評価する客観的な評価ツールです。 開発 National Institute on Aging(NIA) によって開発されました。 (🔗リンクをクリックするとNIAがSPPBを説明しているページに移動します) 許可 必要なし 使用料 必要なし 海外では研究でも臨床でも広く使われ、日本でもリハビリ・介護予防の現場で利用されます。 最近は特にサルコペニア・フレイルの領域で活用されています。 SPPBの評価表│テストが3つあります SPPBの評価表は別の記事で説明しています。 🔗SPPBのみの評価をご希望の方はこちら。 👉  SPPBのみ評価したい方はこちらの記事をご覧ください 🔗フレイル・サルコペニアも含めた包括的な評価をしたい方はこちら。 👉  SPPB・フレイル・サルコペニアを一括で評価したい方はこちらの記事をご覧ください SPPBの測定に必要な物品 ストップウォッチ 4m歩くことのできるスペース(スタートラインとゴールラインを引いておく) 約40cmのイス バランステスト 閉脚立位 両足をくっつけます。 平行棒や手すりなどから両手を離します。 最大10秒です。 10秒を超えないでください。 10秒できたら次のセミタンデム立位に進みます。 10秒できなかったらバランステストは終了して、歩行テストに進みます。 セミタンデム立位 一方の足のつま先と、反対の足の親指を横でくっつけて立ちます。 平行棒や手すりなどから両手を離します。 最大10秒です。 10秒を超えないでください。 10秒できたら次のタンデム立位に進みます。 10秒できなかったらバランステストは終了して、歩行テストに進みます。 💡 膝を軽く曲げたり、手をあげたり することは可能 です。 私は『膝を軽く曲げたり、手を上げたりしても大丈夫なので、何とか10秒保ってください。』と身振りを交えて...

Excelデータの作り方|EZRに読み込ませるためのデータの入力方法を理学療法士が解説

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Excelって、つい自分の使いやすいように入力してしまいますよね。 でもそのままでは、EZRに読み込ませるときにエラーが出たり、うまく認識してくれなかったりします。 実は、EZRで扱えるようにするためには 「最低限のルール」 があるんです。 この記事では、そのルールに沿った入力方法をわかりやすくまとめました。 EZRに読み込ませるためのExcelの入力方法 一番上の行に項目の名前を入れる 上の画像のように、一番上の行にデータの名前を入れていきます。 どんなに長くなってもいいので、ずーっと横に入れてください。 途中で改行したりするのはNGです。 項目に対応したデータを入れていく データは項目に対応するように、縦にずーっと入れていきます。 人数が増えるほど、縦にどんどん長くなっていきますが、気にしないでください。 こういう形にすることで、EZRに正しく読み込めませることができます。 パソコン画面で見やすいように改行したりしてはなりません。 とにかく縦に長くなるようにしてください。 Excelにデータを入力する際のルール 「男性・女性」は「0・1」で入れる 男性は「0」 女性は「1」 で入れてください。 逆でもいいですが、この記事は手順を解説する記事ですので、上の通りに行ってください。 病気などの「有無」は「0・1」で入れる 糖尿病の有無などの病気があるかないかをデータにする場合、「0・1」で入力します。 ない:「0」 ある:「1」 このように、その病気がある場合は「1」を入力します。 データの入力を楽にする小ネタ 年齢の入力を楽にする小ネタ 年齢のセルに以下のように入力します。 = DATEDIF (誕生日のセル,データ採取日のセル,"Y") ✅画像では =DATEDIF(G2,C$2,"Y") という式を使っています。 "Y" の意味: 年数 で表示 この"Y"を "M" にすると 月数 で表示 "D" にすると 日数 で表示 必要に応じて、"Y"、"M"、"D"を使い分けてください。 ✅=DATEDIF(G2, C$2 ,"Y")のCと2の間にドルマーク($)があ...

EZRにExcelデータを読み込ませる方法|初心者がつまずかないためのやさしい手順

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EZRって便利そうだけど…エクセルをどうやって読み込むのか分からない。 実は、ほんの少し工夫するだけで、EZRにスムーズに読み込ませることができます。 「難しそう…」と感じる方でも大丈夫。 統計が苦手な方に向けて、やさしく丁寧に解説していきます。 この記事に書かれている通りにまとめれば、EZRに読み込ませた後の統計処理がやりやすくなります。 EZRにExcelデータを読み込ませる方法 ここからはExcelデータを実際にEZRに読み込ませる手順を解説します。 画像の通りの手順で行ってください。 ①デスクトップにあるEZRのアイコンをダブルクリックします。 ②始めに立ち上がるこの画面は無視して大丈夫です。枠がもう1つ立ち上がりますので、それまで待ちます。 ③実際に操作するのは2つ目に立ち上がった方です。 ④ファイルをクリックします。 ⑤データのインポートをクリックします。 ⑥Excelのデータをインポートをクリックします。 ⑦OKをクリックします。 ⑧読み込ませたいExcelを選んで、開くをクリックします。 ⑨画面の下に〇列、〇行あります。との文字があったら無事読み込み完了です。 これで無事にExcelを読み込ませることができました。 この記事が参考になりましたら幸いです。 運営者プロフィール 本サイト「理学療法士かずの評価と統計のやさしい処方箋」は、理学療法士かずが運営しています。 臨床経験を生かしつつ、学会発表や統計の学びに役立つ記事を執筆しています。 「難しそう…」を「やってみよう!」に変えるきっかけをお届けします。 👉  詳しいプロフィールはこちら 🔗 関連記事 👉 「EZRのインストールが不安な方はこちら」 👉 「SPPB+フレイル+サルコペニア自動集計ツールはこちら」 ※当サイトで紹介している手順・構成・テンプレートは、筆者のこれまでの経験に基づいた一例です。 ※本サイトの情報を利用したことによる不利益・損失については、一切の責任を負いかねます。予めご了承ください。 ※なお、掲載内容はなるべく最新の情報に基づいて更新しておりますが、正確性・完全性を保証するものではありません。

【無料DL可】SPPB・フレイル・サルコペニアを一括評価|理学療法士が作った自動集計ツール

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フレイルやサルコペニアの評価、SPPBの解釈で困っていませんか? 評価がバラバラで手間がかかる… そんな悩みを解決する、自動集計つきExcel評価ツールをご紹介します。 SPPBの評価と同時に、フレイル・サルコペニアのリスク判定まで一括で行える無料ツールです 。 評価を効率化できるだけでなく、解釈の幅がグンと広がり、患者さん・利用者さんの状態を理解するのに役立ちます。 SPPBで転倒リスクを把握したうえで、フレイルやサルコペニアのリスクもあわせて評価できれば、次の一手がより具体的になります。 たとえば、歩行補助具の提案や運動の必要性を伝える際の医学的根拠になり、多職種との連携にも活かせます。 栄養指導の必要性を伝えるときや、ケアマネジャーにサービスを提案するときの説明資料としても有用です。 理学療法士の視点で実際の臨床にフィットするよう設計 しています。 Excelが苦手な方でも使いやすく、入力とチェックだけで自動で結果が表示されます。 この記事では、ツールの使い方や収録されている評価内容について解説します。 ぜひダウンロードして、日々の評価や患者さん・利用者さんの全体像の把握にご活用ください。 無料で使える評価ツール|ダウンロードはこちらから 🔽中身だけ見たい方は下のリンクをクリックしてください。 🔽 Excel版ダウンロードは下のアイコンをクリックしてください。 ダウンロードが自動で始まります。 ブラウザによっては「保存しますか?」というメッセージが出る場合があります。 🔗SPPBのみの評価をご希望の方はこちら。 👉 SPPBのみ評価したい方はこちらの記事をご覧ください 🔗 SPPBについて詳しく解説しています。 👉  測定方法を詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください 臨床での効率的な評価の必要性 SPPBの測定は、リハビリ職にとっておなじみのものです。 ただし、測定した後にどのように解釈したらよいか悩んでしまうことも現場のあるあるです。 もうちょっと解釈を広げたいですよね。 例えばフレイルやサルコペニアと関連付けたり。 SPPBの測定項目は、フレイルやサルコペニアの評価内容と一部重複しています。 SPPBで測定した項目も有効活用し、フレイルやサルコペニアのリスクまで一緒に判定できると一石二鳥です。 そこで、このツールを作成しました。 ...