【無料DL可】SPPB・フレイル・サルコペニアを一括評価|理学療法士が作った自動集計ツール
フレイルやサルコペニアの評価、SPPBの解釈で困っていませんか?
評価がバラバラで手間がかかる…
そんな悩みを解決する、自動集計つきExcel評価ツールをご紹介します。
SPPBの評価と同時に、フレイル・サルコペニアのリスク判定まで一括で行える無料ツールです。
評価を効率化できるだけでなく、解釈の幅がグンと広がり、患者さん・利用者さんの状態を理解するのに役立ちます。
SPPBで転倒リスクを把握したうえで、フレイルやサルコペニアのリスクもあわせて評価できれば、次の一手がより具体的になります。
たとえば、歩行補助具の提案や運動の必要性を伝える際の医学的根拠になり、多職種との連携にも活かせます。
栄養指導の必要性を伝えるときや、ケアマネジャーにサービスを提案するときの説明資料としても有用です。
理学療法士の視点で実際の臨床にフィットするよう設計しています。
Excelが苦手な方でも使いやすく、入力とチェックだけで自動で結果が表示されます。
この記事では、ツールの使い方や収録されている評価内容について解説します。
ぜひダウンロードして、日々の評価や患者さん・利用者さんの全体像の把握にご活用ください。
無料で使える評価ツール|ダウンロードはこちらから
🔽中身だけ見たい方は下のリンクをクリックしてください。
🔽 Excel版ダウンロードは下のアイコンをクリックしてください。
ダウンロードが自動で始まります。
ブラウザによっては「保存しますか?」というメッセージが出る場合があります。🔗SPPBのみの評価をご希望の方はこちら。
臨床での効率的な評価の必要性
SPPBの測定は、リハビリ職にとっておなじみのものです。
ただし、測定した後にどのように解釈したらよいか悩んでしまうことも現場のあるあるです。
もうちょっと解釈を広げたいですよね。
例えばフレイルやサルコペニアと関連付けたり。
SPPBの測定項目は、フレイルやサルコペニアの評価内容と一部重複しています。
SPPBで測定した項目も有効活用し、フレイルやサルコペニアのリスクまで一緒に判定できると一石二鳥です。
そこで、このツールを作成しました。
自動集計ツールの概要│SPPB測定とフレイル・サルコペニアのリスク判定を同時に行うことで一石二鳥です
このツールでできること- SPPBの測定
- フレイルのリスク判定(J-CHS基準)
- サルコペニアのリスク判定(SARC-F or SARC-Calf)
自動集計ツールの使い方|SPPB・フレイル・サルコペニアを一括評価
📌大前提
黄色く塗りつぶされているセルにのみ入力します。
それ以外のセルは入力できないように(改変できないように)ロックがかかっています。
セルは書式設定で塗りつぶしているのではなく、条件付き書式の『=cell("protect",a1)=0』で色を付けています。
白黒印刷をすると色は消えて見えます。
📋基本情報の入力
入力するのは4ヶ所です。
氏名
被検者の氏名を入力してください。
生年月日
被検者の生年月日を西暦で入力してください。
測定日時点での年齢が自動で計算されます。
測定日
測定を行った日を西暦で入力してください。
性別
男性か女性かを選びます。
握力のカットオフが性別によって違いますので、正確に選んでください。
🧍♂️SPPBのバランステスト|自動集計ツールの入力方法と注意点
入力するのは最低1ヶ所~最大3ヶ所です。
閉脚立位時間
閉脚立位が10秒未満(0~9.9秒)であれば、その実数値を入力してください。
その場合、測定は終了です。セミタンデム立位・タンデム立位の測定は行いません。
閉脚立位が10秒できたら、時間の右隣のセルに「10」と入力してください。
セミタンデム立位の測定に進みます。
セミタンデム立位の測定に進みます。
セミタンデム立位時間
セミタンデム立位が10秒未満(0~9.9秒)であれば、その実数値を入力してください。その場合、測定は終了です。タンデム立位の測定は行いません。
セミタンデム立位が10秒できたら、時間の右隣のセルに「10」と入力してください。
タンデム立位の測定に進みます。
タンデム立位の測定に進みます。
タンデム立位時間
タンデム立位が10秒未満(0~9.9秒)であれば、その実数値を入力してください。タンデム立位が10秒できたら、時間の右隣のセルに「10」と入力してください。
画面右側の点数欄は、秒数を記入すると自動でチェックが入り、合計点に反映されます。
💡健側と患側がある場合、患側を前にした方が安定します。
💡セミタンデム立位・タンデム立位は基本的に後方荷重です。
🚶♀️SPPBの通常歩行テスト|自動集計ツールの入力方法と注意点
入力するのは最低1ヶ所~最大5ヶ所です。
SPPBの測定とフレイルの評価に『通常歩行速度』が重複しています。
- 被験者はスタートラインにつま先をそろえます(助走はありません)。
- 「よーいスタート」といい、被験者が動き始めたらスタートを押します。
- どちらか一方の足がゴールラインを越えたらストップを押します。
※ゴールラインで止まらないこと。
- 1回目の欄は、1回目の測定で得られた時間(秒)を記入してください。
- 2回目の欄は、2回目の測定で得られた時間(秒)を記入してください。
画面右側の点数欄は、秒数を記入すると自動でチェックが入り、合計点に反映されます。
✅特別枠として最大歩行速度の記入欄を設けています。
必要があれば任意で行ってください。
✅歩行補助具や測定時の履物を記録できる欄を設けています。
もし時系列で測定環境をそろえたい場合は記入してください。
⚠️注意点
ストップウォッチをいつ止めるのかという問題があります。✅片方の足が完全にラインを越えたら止める。
✅ライン上に足が載ってしまった場合は止めない。次の足が完全に越えてから止める。
ストップウォッチをいつ止めるのかという問題があります。
✅片方の足が完全にラインを越えたら止める。
✅ライン上に足が載ってしまった場合は止めない。次の足が完全に越えてから止める。
🪑SPPBの椅子立ち上がりテスト|自動集計ツールの入力方法と注意点
入力するのは1ヶ所です。
- イスの高さは約40cm。だいたいのイスが当てはまりますが、条件をそろえたい場合、毎回同じイスを使うことを推奨します。
- 被検者は手を胸の前で組みます。
- 立ち上がりの練習を1回します。
- 練習が失敗したらその時点で終了です。黄色い枠の中に『困難』または『不可』と記入してください。文字が記入されたら自動で『0点』になります。
- 練習が成功したら、5回『素早く立ち上がる ⇔ 座る』を繰り返します。
- 5回目に立ち上がった時点での時間(秒)を記入します。
画面右側の点数欄は、時間(秒)を記入すると自動でチェックが入り、合計点に反映されます。
合計点も自動で計算されます。
⚠️注意点
5回立ち上がりテストは、立った時点で終了か、座った時点で終了かという問題がつきまといます。
SPPBを採用している論文でも、このところをあいまいにしていることが多いです。
SPPBは、National Institute on Aging(NIA)によって開発され、1994 年に発表されました。その原著論文によると、
participants were asked to stand up and sit down five times as quickly as possible, and were timed from the initial sitting position to the final standing position at the end of the fifth stand.
翻訳は以下の通り。
参加者は、できるだけ速く立ち上がって座ることを5回行うように求められ、最初の座位から5回目の立ち上がりの最後の立位までの時間を計測した。
要するに、
- 座位
- ヨーイドン(ストップウォッチをスタート)
- 1回目立つ
- 1回目座る
- 2回目立つ
- 2回目座る
- 3回目立つ
- 3回目座る
- 4回目立つ
- 4回目座る
- 5回目立つ
- ここでストップウォッチを押して終了!
原典に従うと、このような測定手順になります。
⚠️論文によっては座って終わりにしたり、終わり方があいまいだったりします。
明確にしたい場合は、原著論文の著者にメール等で連絡をとり、詳しく教えてもらってください。
✊握力テスト│フレイルのリスク判定にも使います
入力するのは最低1ヶ所~最大5ヶ所です。
- 被検者はイス座位で、股関節、膝関節が90°屈曲した姿勢になります。
- グリップは軽く握り、示指(人差し指)のPIP関節(いわゆる第2関節)が90°曲がるくらいにグリップ幅を調整します。
- 上肢を横に垂らし、体に付かないように強く握ります。
- 右、左、右、左、の順に2回ずつ測定します。
✅握力の代表値は、一番強かった数値になります。
この集計ツールでは平均値は出せません。
もし平均値が必要な場合は各自で行ってください。
✅握力計の握り幅を記入しておくと、次回の測定時に条件をそろえることができます。
✅結果の解釈欄は、性別と数値によって自動でチェックが入ります。
チェックが付いたら握力が低下していると判定できます。
💬フレイルに関するインタビュー
ここから先は黄色い塗りつぶしがありません。
わたしの技術力不足です。申し訳ありません。
インタビューするのは次の3つです。
体重減少
6ヶ月で2kg以上の意図しない体重減少があった場合、チェックボックスにカーソルを合わせて、左クリックでチェックを入れます。
※これはカルテ等から情報収集してもよいです。
※これはカルテ等から情報収集してもよいです。
疲労感
ここ2週間わけもなく疲れた感じがすると答えた場合、チェックボックスにカーソルを合わせて、左クリックでチェックを入れてください。
身体活動
軽い運動・体操をしているかどうか。定期的な運動・スポーツをしているかどうか。
2つとも「週に1回もしていない」と回答した場合、チェックボックスにカーソルを合わせて、左クリックでチェックを入れます。
✅結果の解釈は自動でチェックが入ります。
✅握力は性別によって規定値を下回れば自動でチェックが入ります。性別欄の入力を忘れないようにお願いします。
✅SPPBで測定した歩行速度が <1.0m/s であれば、自動でチェックが入ります。
💬サルコペニアに関するインタビュー│SARC-F もしくは SARC-Calf
インタビューするのは次の5つです。
- 4.5kgの物を持ち上げて運ぶのがどれ位大変ですか?
- 部屋の中を歩くのがどれ位大変ですか?
- イスやベッドから移動するのがどのくらい大変ですか?
- 階段を10段上がるのがどのくらい大変ですか?
- この1年間で何回転倒しましたか?
各質問の返答に当てはまるチェックボックスにカーソルを合わせ、左クリックでチェックを入れてください。
もし間違って同じ質問内で複数のチェックを入れてしまった場合、下の図のように赤い字で「確認!」というメッセージが出ます。
このメッセージが出た場合、間違ってチェックをしていないか確認をお願いします。
🦵ふくらはぎ周径(下腿周囲長)の測定│SARC-Calf で使います
ふくらはぎの周径はサルコペニアのリスク判定に有用です。
入力するのは2ヶ所です。
右足のふくらはぎの周径は、右と書かれたセルの右隣の黄色く塗りつぶされたセルに記入してください。
左足のふくらはぎの周径は、左と書かれたセルの右隣の黄色く塗りつぶされたセルに記入してください。
結果の解釈は自動でチェックが入ります。
SARC-F、SARC-Calfのどちらかにチェックが入っている。
かつ
握力または5回立ち上がりでサルコペニアの疑いありにチェックが入っている。
この2つを満たした場合、サルコペニアの疑いありと判定されます。
あくまでスクリーニングですので、拡大解釈しないようお気を付けください。
📒考察(アセスメント)
評価表の最後には、考察を記入するスペースを設けています。
結果どうだったのか、どのようなことが言えるのか、どんな運動がオススメなのかなど、フリースペースになっていますので、ご自由にお使いください。
わたしはこの評価表を他部署と共有する資料として使っていたので
- 移動時に付き添いが必要か
- 歩行器等の歩行補助具の必要性
- 推奨される運動
などを記載するのに使っていました。
運営者プロフィール
本サイト「理学療法士かずの評価と統計のやさしい処方箋」は、理学療法士かずが運営しています。
臨床経験を生かしつつ、学会発表や統計の学びに役立つ記事を執筆しています。
「難しそう…」を「やってみよう!」に変えるきっかけをお届けします。
⚠️使用上の注意
このツールは診断を目的としたものではありません。リスク評価や状態把握の参考情報としてお使いください。
✍️ 最後に:この記事の活かし方
この記事は、
- リハビリ職の新人教育資料
- 多職種カンファレンスの資料化
- 評価の標準化ツール
として広く活用できます。今後「高齢者 評価ツール」「フィジカルパフォーマンス 自動集計」などのニーズが高まる中で、需要のあるテーマです。
📚引用論文
<SPPBの原典>
Guralnik JM,et al:A short physical performance battery assessing lower extremity function: association with self-reported disability and prediction of mortality and nursing home admission.Journal of Gerontology Vol.49 No.2:M85-M94,1994
<SARC-F日本語版の監修者による論文>
Kurita N#, Wakita T, Kamitani T, Wada O, Mizuno K. (#corresponding author)
SARC-F Validation and SARC-F+EBM Derivation in Musculoskeletal Disease: The SPSS-OK Study
運動器疾患でのサルコペニア拾い上げを目的としたSARC-F質問票の診断精度の検証と、SARC-F+EBM診断法の開発
The Journal of Nutrition, Health & Aging 2019; 23: 732-738. doi:10.1007/s12603-019-1222-x
<SARC-F・SARC-Calfについて>
荒井秀典:サルコペニア診療ガイドライン,日本内科学会雑誌 109 巻 10 号,2162-2167
https://www.jstage.jst.go.jp/article/naika/109/10/109_2162/_pdf
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