【あなたが事故のきっかけにならないために】盲導犬ユーザーが安心して歩くためにできることを解説します。

2024/06/02

盲導犬

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【あなたが事故のきっかけにならないために】盲導犬ユーザーが安心して歩くためにできることを解説します。


画像はハーネスをつけた盲導犬です。ユーザーがそばに立っていますが、薄い色味で目立たないようになっています。

今回の記事では盲導犬の飼い主のことを「ユーザー」と表記します

画像は盲導犬を連れた男性ユーザーです。ユーザーに向かって矢印を引っ張り、「ユーザー」と表記と書かれています。この記事では、盲導犬使用者のことをユーザーと表記することを宣言しています。

今回の記事で伝えたいこと

①盲導犬ユーザーが安心して歩けるため
②ユーザーが事故にあうきっかけを作らないため
まわりにいる私たちに何ができるのか、何をしない方がいいのかを解説します。

 こんにちは。
 理学療法士のわい爺です。
 私は2006年に理学療法士免許を取得しました。
 本記事をお読みの皆様に、私のこれまでの体験から得られた知見を共有いたします。

 今から盲導犬に関するクイズを出します。
 ○か×かでかんがえてみてください。

  1. 盲導犬はユーザーを目的地へ連れていく
  2. 盲導犬は信号の色が判断できる
  3. 盲導犬は何があっても集中力が切れない
  4. 盲導犬はストレスで寿命がみじかい

 こたえは全部‪×です。
画像は白髪の男性がバツ印の札を挙げている様子です。残念そうな顔で、右手に持ったバツ印の札をあげています。
 私は知りませんでした。
 私だけが知らないのなら問題ないかと思いますが、そうではなさそうです。

 Youtube上に盲導犬を許可なく撮ったと思われる動画があがっています。
 動画のコメント欄を見ていると、盲導犬についてかんちがいしているのは私だけではなさそうだと確信しました。

 私にとってとても衝撃的だった事実があります。
 盲導犬はペットの犬より平均的に長生きだということです。

 盲導犬は厳しい訓練をのりこえ、人間に献身的につくし、ストレスにさらされているというのは、思い込みなのかもしれません。

 私のテーマは「ころばないこと」。
 盲導犬について勉強し、盲導犬ユーザーの安全について考えるようになりました。
 「ころばないこと」からすこし発展させて、「事故にあわないこと」をテーマにお話します。

 今回の記事をお読みいただくと

  • 盲導犬への理解がふかまります。
  • ユーザーの安全のためにできることが増えます。

 あなた自身が事故のきっかけを作らないために、盲導犬とユーザーについて一緒に学びましょう。

盲導犬ユーザーが安心して歩けるために知っておきたいこと

盲導犬がハーネスを着けているときは仕事をしている

 ハーネスとは、盲導犬が体につけている白い胴輪のこと。
画像は盲導犬のみがえがかれています。白い胴輪に向かって矢印を引っ張り、これがハーネスであるということを表現しています。
 ハーネスを通して盲導犬の動きがユーザーにつたわり、安全に歩くことができます。

 ハーネスをつけている間、盲導犬は仕事をしています。

 仕事といえばユーザーを目的地に連れていくことだと思いますよね。

盲導犬はユーザーを目的地に連れていってはいない

 盲導犬のしごと

  • 曲がり角を教える
  • 障害物を教える
  • 段差を教える(交差点の段差など)

 盲導犬はGoogleマップのように道案内はしていません。
 目的地までの地図はユーザーの頭の中にあります。
 ユーザーは頭の中で目的地までの地図をえがきながら盲導犬に指示をだしています。

 クイズ1.の答え:
「盲導犬はユーザーを目的地に連れていくわけではない」

信号の色のちがいがはっきりわからない

 クイズ2.の答え:
「盲導犬は信号の色のちがいがはっきりわからない」

 ユーザーが信号の音やまわりの音、人がわたっている気配で青信号かどうか判断しています。
 ユーザーが横断歩道を渡れなくて困っているときは、ユーザーに声をかけてあげてください。

声のかけ方
  • 青になりましたよ
  • 赤ですよ

そのほか、困っていそうな場面をみたとき

呼び方
  • 盲導犬をお連れの方

なんて言う?
  • 何か困っていることはありませんか?

駅のホームや道路への飛び出しなど危険な場面を見かけたとき
  • 盲導犬の人、止まって!

手をひいて歩く手助けをお願いされたら
  • どちらの腕がいいか聞く
  • 半歩前にたつ
  • 肩か、ひじの少し上をもってもらう

画像は盲導犬の女性ユーザーに対し、違う女性が介助歩行をしている様子です。ユーザーは右手で女性の左腕をつかみ、ユーザーの左側に盲導犬がいます。

 結論
 盲導犬にはできないことがある。
 ユーザーが困っているとき、あぶないときは声をかけよう。

あなたが事故のきっかけにならないためにできること

 Youtube上に盲導犬を許可なく撮ったと思われる動画があがっています。
 (再生数が増えてもよろしくないのでURLは貼りません)

 勝手に撮っていることを注意しているコメントはほとんどありません。
 高評価も多くついています。

 動画のコメント欄を見ていると、盲導犬についてかんちがいしているのは私だけではなさそうだと確信しました。

 では、動画やコメント欄からわかることをお伝えします。

許可なく撮影するのはやめよう

 盲導犬がハーネスをつけているときは仕事をしているときです。
 気をひくようなことをされると、気になってよそ見をしてしまうことがあります。
 盲導犬と言えども完ぺきではありません。

 カメラが自分に向いている

 → 気になる
 → よそ見をして、集中力が切れる
 → まがり角や段差を見おとす
 → 障害物の発見がおくれる
 → ユーザーが事故にまきこまれる

 まわりにいる人の不用意な行動は、ユーザーが事故にあうきっかけになります。
 ユーザーの許可なく撮影するのはやめましょう。

 そのほかの事故のきっかけになりうるNG行動

  • 声をかける
  • さわる
  • 見つめる
  • 気をひこうとして口笛をふく
  • 写真を撮る
  • 食べ物を与えようとする
  • 自分のペットの犬とあいさつさせようと近づける


 このようなことはしないよう気をつけていきましょう。

画像は男性が盲導犬にさわろうとしている様子です。左上に大きくNGと書かれており、盲導犬にさわらないように注意を促しています。

画像は男性が盲導犬にえさをあげようとしている様子です。左上に大きくNGと書かれており、盲導犬にえさをあげないように注意を促しています。

 クイズ3.の答え:
「集中力が切れることはある」

 結論
 まわりの人の不用意な行動が事故のきっかけになる。
 集中力を切れさせるような行動はNG。

盲導犬を見かけたらあたたかく見守るだけ

 盲導犬を見かけたら、すこし目線を上げて、ユーザーの方を見ます。
 ユーザーが困っていなさそうか確認しましょう。

 仕事中の盲導犬に対して私たちが何かすることはありません。
 あたたかく見守りましょう。

メディアの作り出す盲導犬の幻想を捨てよう

平均寿命は長い

 クイズ4.の答え:
「盲導犬は平均的にペットの犬より寿命が長い」

出典:水越美奈,下重貞一:盲導犬の平均死亡年齢について,日本補助犬科学研究, 1. 1: 60-63,  2007.

 ここが一番のおどろきでした。
 盲導犬はきびしい訓練をのりこえ、人間につくすように本能をおさえこみ、日々ストレスを感じているようなイメージでした。

 実は逆で

  • ほめて育てられる
  • 人といることが好き
  • ユーザーと常にいっしょにいるのでストレスが少ない
  • 盲導犬のケアはユーザーの義務

画像はハーネスを外した盲導犬がくつろいでいる様子です。男性ユーザーが向かって左側であぐらを組んで、笑顔で盲導犬をなでています。盲導犬もユーザーの方を向いて落ち着いた表情をしています。ふたりの後ろにはハーネスが置いてあります。

 平均的に長生きできるのはこのような理由が考えられます。

犬の性質には2つの種類がある

 犬として本来もっている性質と、訓練によって身につけた性質の2つです。
画像は犬の性質を説明しています。上から犬としての特性。人にほめられることが好き。家の中では甘えたり、いたずらしたりする。信号の色がわからない。ユーザーの指示がないと誘導できない等と書かれています。次に、訓練によって身につけた性質。他の動物とけんかをしない。ユーザーの指示があるまで排泄しない。周囲の人に危害を加えることをしない。ユーザーが与えた食べ物以外を口にしない等と書かれています。
出典:石上智美:盲導犬に関する書籍の内容の分析,日本教育心理学会総会発表論文集 第 49 回総会発表論文集. 一般社団法人 日本教育心理学会, p. 302, 2007を基に筆者が作成

 人にほめられて育ち、家では甘えたり、いたずらしたりする。
 さらに長生き。

 結論
 どちらかというと、幸せに生きているのではないでしょうか。
画像は目を閉じた犬からハートの吹き出しが出ている様子です。まえの文脈から幸せであるということを表現しています。

メディアは盲導犬を美化しすぎている

 メディアによりつくられた盲導犬のイメージは美化されすぎています。
 報道や宣伝、広告はイメージアップが主。
 実際の盲導犬やユーザーを理解するには、情報がかたよっていたりします。

出典:中土純子:日本における盲導犬の普及に関する課題の考察,學苑,  904: 79-89, 2016.

 結論
 メディアの情報をうのみにしない。
 公式の情報を見たり、論文を読もう。

補足

 わい爺からユーザーにむけて注意喚起をします。

運動機能が衰えているため盲導犬とともに行動出来ないといったことがある

出典:中土純子:日本における盲導犬の普及に関する課題の考察,學苑,  904: 79-89, 2016.

 ユーザーも足腰の筋力が衰えないように気をつけてください。
 盲導犬は段差を教えてくれます。
 その段差を安全にのぼるためには、足腰の力と、ふらつかないバランスが必要です。

 ユーザーの足腰が衰えないという根拠はありません。
 ユーザーがおこなう筋力トレーニングに特別な違いはありません。
 まわりにぶつかったりしないよう配慮は必要ですが、身体のつくりは同じです。
 盲導犬とユーザー本人がケガをしないように、適度な運動には取り組んでください。

 ▼参考記事


画像は男性がテーブルに手をついて、椅子からの立ちすわり運動を繰り返している様子です。

まとめ

①ユーザーが安心して歩くために、あなたができること
  • 盲導犬にもできないことがあると知る
  • 困っていたらユーザーに声をかける

②事故のきっかけにならないために、あなたができること
  • 集中力が切れて危ないので盲導犬の気をひかない
  • 盲導犬は遠くからあたたかく見守るだけ

 ユーザーが安全に歩くことができる。
 自分が事故のきっかけにならない。
 皆々様がすこやかに過ごされることを願っております。

 今回の記事の内容に間違いやご指摘がありましたらご連絡ください。
 調査のうえ、対応いたします。

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参考・引用

論文

石上智美,徳田克己:盲導犬使用者の感じる盲導犬に関する問題点, 健康科学大学紀要, 1: 91-98, 2005.

水越美奈,下重貞一:盲導犬の平均死亡年齢について,日本補助犬科学研究, 1. 1: 60-63, 2007.

中土純子:日本における盲導犬の普及に関する課題の考察,學苑, 904: 79-89, 2016.

石上智美:盲導犬に関する書籍の内容の分析,日本教育心理学会総会発表論文集 第 49 回総会発表論文集. 一般社団法人 日本教育心理学会, p. 302, 2007

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