【書評】『ぼくたちは習慣で、できている』/佐々木典士【運動を習慣化するためのヒント】
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こんにちは。
理学療法士の「わい爺」と申します。
運動は続けることに意義があります。
継続は力なり。
もうなんべん聞いたか。
わたしもなんべん言ったか忘れてしまうくらいです。
わかっちゃいるけど、なかなか続けられない。
運動を習慣にするのは難しい。
わたしにも身に覚えがあります。
この記事をお読みの皆様もそうではないでしょうか。
実は、運動を習慣化するために押さえておきたいポイントがあります。
結論を先にお伝えしますと、
point
考えない!
これが習慣化のポイントです。
ここから先は、わたしの経験した具体例を交えながら、本書の要点をお伝えいたします。
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すぐ始める
運動を習慣にしたいと思ったとき、始める時期を考えてはいけません。
今すぐ始めてください。
今すぐ。
わたしが臨床でよく聞くのは、「暖かく(または、涼しく)なったら始める」という言葉です。
暖かく(涼しく)なっても運動を始められないループ
運動のやり方を理学療法士がお伝えする
→「暖かくなったら始めるよ」
→ 実際に暖かくなったら
→「花粉がひどくてできない」
→「季節の変わり目で体調が悪い」
→「梅雨でできない」
→「暑くてできない」
→「涼しくなったらやるよ
→「台風が来て気圧が下がっててできない」
→「季節の変わり目で体調が悪い」
→「秋も花粉がひどくてできない」
→ そうこう言っているうちに寒くなってきて
→「寒くてできない」
→「暖かくなったら始めるよ」
→
→「暖かくなったら始めるよ」
→ 実際に暖かくなったら
→「花粉がひどくてできない」
→「季節の変わり目で体調が悪い」
→「梅雨でできない」
→「暑くてできない」
→「涼しくなったらやるよ
→「台風が来て気圧が下がっててできない」
→「季節の変わり目で体調が悪い」
→「秋も花粉がひどくてできない」
→ そうこう言っているうちに寒くなってきて
→「寒くてできない」
→「暖かくなったら始めるよ」
→
以下、無限ループ。
日本の季節は、難癖をつけようと思えば1年中つけられる。
本書より引用
そうなんです。
先ほどのループを見ていただいてもお分かりの通りです。
どの時期だって始めない理由を作り出すことが可能。
Xでアンケートをとったところ、9割もの方が「結局やらない」に投票されました。
みなさまも薄々感づいているということがわかりました。
投票いただいた方々、ありがとうございました。
おはようございます。
— わい爺@転倒予防の理学療法士 (@pt_no_YZ1717) October 28, 2024
寒くなってきましたね。
寒い時期は、運動指導をしても「暖かくなったら始めるよ」という返事をよく聞くようになります。
さて、こういう方は春になったら本当に運動を始めるでしょうか??
だからこそ始める時期を考えてはなりません。
始めようと思ったときにすぐ始めるのです。
始める時期を考えないで、今すぐに始めることが習慣化の第1歩です。
無限ループのその後
暖かく(涼しく)なったら始めると言われて、「それじゃあ一生やれないですよ」とはっきりお伝えすることはありません。
やんわりと今すぐ始めることを伝えています。
このループにはもう1つ落とし穴があります。
暖かく(涼しく)なって運動を始めることができたと仮定します。
ですが、1年たって同じ時期になったとき、同じ理由でできなくなってしまいます。
暖かくなったら始めるというのは「寒い時期はやらない」という意味。
涼しくなったら始めるというのは「暑い時期はやらない」という意味。
これでは運動を習慣化することができません。
結局、1年も続かないということです。
暖かく(涼しく)なったら始めるというのは、真であっても偽であっても運動の習慣化には望ましい考え方ではありません。
わたしは2006年から臨床の現場にいますが、この言葉を使う方で、その時期が来て本当に運動を始められた方を見たことがありません。
寒い時期は暖かい時間帯を選んでください。
暑い時期はエアコンの効いた室内でやるか、朝や夕方など少しでも涼しい時間帯を選んでください。
わたしはそのようにお伝えしています。
本書でも、習慣を身に着けるために「今日始める」ことをオススメしています。
毎日やる
今日始めたら、次に気になることは週に何回やればよいのか。
運動習慣を身に着けるためには毎日やることがオススメです。
筋トレなら週3回がいいんじゃないの?
有酸素運動は?
ストレッチは?
と、色々なことが思い浮かびますが、「習慣にする」ということ1点を重視するなら、毎日です。
あれこれと考えたくなりますが、難しく考えず毎日続けてください。
毎日続けるコツ
ここからは毎日続けるためのコツについて書いていきます。
習慣=ほとんど考えずにできる行動
この記事の冒頭で書きましたが、考えないでできることが習慣です。
では、どうすれば考えずにできるのか。
その1つは「やる気」に頼らないということです。
やる気に頼らない
やる気があるときにやる。
やる気がないときはやらない。
この考えは習慣を身に着けることを目的とした場合、間違いです。
やりはじめないと、やる気はでません。脳の側坐核が活動するとやる気が出るのですが、側坐核は、何かをやりはじめないと活動しないので
本書より引用
やる前からやる気はでません。
これはとても重要な知識です。
今日からやる気に頼るのはやめてください。
では、やる気以外、何を頼りにすればよいのでしょうか。
トリガーを作る
トリガーとは、引き金や起動装置、物事をおこすきっかけという意味があります。
運動を習慣にするためには、このトリガーを作ることがオススメされています。
では、何をトリガーとしましょうか。
この場合、すでに習慣化されている行動とセットにするとよいでしょう。
アラームが鳴ったら立ち上がる
趣味などに没頭してしまうと何時間も座りきりになってしまう方がいらっしゃいます。
そのこと自体は悪いことではありません。
問題は、座りっきりになって運動不足になってしまうことです。
座りっきりの解消法として、30分に1回立ち上がるというものがあります。
集中しているときに30分ごとに立ち上がるのはかなり難しいこと。
そういった場合に、トリガーとして30分のタイマーをセットするという手があります。
タイマーはスマホに入っています。
歯を磨きながら片足立ち
歯磨きが習慣になっている方はかなり多いと思います。
この歯磨きと運動をセットにしている方がいらっしゃいました。
歯磨きはある程度の時間がかかります。
その間に片足立ちの運動をするのです。
転んで歯ブラシがのどに刺さることは避けなければなりません。
転ばないように気をつけながら行います。
この場合のトリガーは歯を磨くこと。
考えが止まったら筋トレ
これはわたしの話なのですが、現在カエル倒立を練習しています。
個人的な話なのですが、
— わい爺@転倒予防の理学療法士 (@pt_no_YZ1717) October 20, 2024
身体のバランスを極めるために、『カエル倒立』を練習しています。
もうかれこれ1年、全然上達しません。
カエル倒立、さらに発展してプランシェができる方がいらっしゃいましたら、ご助言お願いいたします。
わたしには毎日パソコンを立ち上げる習慣があります。
そうして、ブログの記事を書いたり、Xの自動投稿の編集をしたりします。
そのときに、考えが止まってしまうこともしばしば。
考えが止まったことをトリガーに、カエル倒立や腕立て、プランシェの練習を開始します。
スーパーやデパートで階段を使う
買い物に出かけたら階段を使います。
これもそのお店に入ったことがトリガーになります。
ここに来たら階段を使うとあらかじめ決めておくと良いでしょう。
ポケモンGOなどの位置情報アプリを立ち上げて散歩に出かける
スマホは現代人の生活に欠かせないアイテムとなりました。
何も考えず、ほぼ無意識でつけています。
スマホを立ち上げる。位置情報アプリをタップする。
ここまでを無意識で行うことができれば、あとは散歩に出かけるだけです。
外に出かける理由をあれこれ考えるより、ポケモンを捕まえるためと思えば、何も考えずスッと外に出られます。(これはわたしの実体験です)
YouTubeの運動動画をつける
動画が始まってしまえば、動画を見ながら一緒に運動することができます。
どの動画にしようか迷ってしまうかもしれませんが、事前に「この人」と決めておくと良いでしょう。
運動の動画ではなく別の動画をダラダラ見てしまうならば、その他のトリガーが必要になります。
アラームを鳴らす、時間で決める。
わたしもアラーム代わりに毎日運動を促すポストをしていますので、そういったトリガーを頼りにすると良いでしょう。
▼外部リンク(X)
通勤・通学は階段を使うと決めておく
何も考えずに無意識でエスカレーターに乗っていませんか?
通勤・通学は階段を使うとあらかじめ決めておきましょう。
あらかじめ決めておけば、あれこれ考えず階段を使うことができます。
階段を使うことで活動量を増やしてください。
通勤や通学はある意味では習慣といえます。
通勤・通学をトリガーにすると良いでしょう。
あらかじめ決めておく
病気などで活動に制限はありませんか?
もし制限がないのであれば、身体を動かす方を選ぶとあらかじめ決めておくことがオススメ。
身体を動かす方 vs 身体を動かさない方。
例えば、階段とエレベーター。
歩行と車。
あらかじめ身体を動かす方を選ぶと決めておけば、あれこれ考えないで済みます。
病気があって身体を動かすことに不安がありませんか?
医師にあらかじめ活動の制限を確認しておいてください。
あらかじめ活動の制限を確認しておけば、制限内であれば身体を動かす方を選びましょう。
例えば階段が制限されているなら、平地は歩く。
歩数の制限があるなら、制限内で歩く。
独歩を制限され杖や歩行器をオススメされているなら、杖や歩行器を使って歩く。
あらかじめ制限の範囲を確認しておけば、あれこれ考えないで済みます。
制限がわからなかったり、自分で決めようとあれこれ考えるから、運動を続けるのが難しくなってしまうのです。
運動習慣を身に着けるために、制限の範囲はあらかじめ医師に確認しておくと良いでしょう。
ハードルを下げる
本書では、習慣を身に着けるためにハードルを徹底的に下げることをオススメしています。
例えば運動回数の目標を1回にすること。
腕立て伏せを1回やる。
1回やってしまえば目標達成。
1回やったならついでに10回やろうかなと思えたりするものです。
習慣を身に着ける上で何より大事なのは、自己否定感を感じないようにすること。
本書より引用。
目標を1回にしておけば、もし本当に1回しかできなくても自己否定感は生まれません。
自分で設定した目標が達成できている
わたしも本書を読んで、運動習慣をお手伝いするための動画を作成しました。
1回やって、あとは褒めたたえる動画です。
運動の習慣を身に着けるために、本動画がお役に立ちましたら幸いです。
生活に組みこむ
出典①:中野聡子・他:介護予防教室参加者における運動の継続に関連する要因,理学療法学42 (6),511-518,2015
対象
65歳以上
309名
目的
運動が続けられた人の特徴を明らかにする
結果のまとめ
運動を生活に組みこむことで継続できる可能性が高くなる
例えば、
- 朝食後に
- 入浴の前に
なぜかというと、高齢者は時間判断能力が低下しているから。
自由時間が多く、時間的な余裕がある。
毎日行うような食事や入浴に付随して行うような「運動を生活パターンに組みこむ」ことで運動を認識し運動継続に効果的
出典①より引用
上のトリガーの項目でもお伝えしましたが、生活の中のどこかに運動を組みこむことが習慣を身に着ける上で非常に役立ちます。
まとめ
習慣を身に着けるためには、
point
すぐ始める
毎日やる
あらかじめ決めておく
ハードルを下げる
生活に取り入れる
運動の習慣を身に着けるには、あれこれと考えないことが大切。
習慣を身に着けるために本書はとても役立ちます。
ご一読をオススメいたします。
引用文献
①
中野聡子・他:介護予防教室参加者における運動の継続に関連する要因,理学療法学42 (6),511-518,2015
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