【実例あり】学会発表の統計方法/結果の書き方|抄録・スライドで迷いやすいポイント

2026/03/16

EZR コメディカル向け統計 学会発表 学会発表の準備 統計の基本 統計初心者



学会発表の準備をしていると、統計結果の書き方で手が止まることがあります。

解析自体は終わっているのに、
  • 有意水準と有意確率はどう書けばいいのか
  • ノンパラメトリック検定を使ったら平均値を書くのか、中央値を書くのか
  • p値は「p<0.05」でいいのか、それとも具体的な値を書くのか
こうした細かい書き方に迷うことは意外と多いものです。

私自身、理学療法士として初めて学会発表をしたとき、
「この書き方で大丈夫だろうか」と何度も立ち止まりながらスライドを作りました。

この記事では、実際に私が学会発表で使用したスライドを例にしながら、
初心者のコメディカルが迷いやすい「統計結果の書き方」を整理していきます。

難しい統計理論ではなく、
学会発表の抄録やスライドで実際によく使われる書き方に絞って解説します。

同じように、統計の書き方で手が止まっている方の参考になればうれしいです。

学会発表での統計方法の書き方【実例】

私が実際の学会発表で使用したスライドを例に、
統計方法の書き方をご紹介します。

私が過去に発表で使ったスライドです


このように、統計方法の部分には次のように記載しました。
  • 統計解析ソフトEZRを用い
  • 統計学的有意水準は5%とした

学会発表では、このようにシンプルに書くことが多いです。

👇の画像も同様です。

こちらも私が発表で使ったスライドです

引用について軽く触れていますが、次はその引用についてご説明します。

EZRの引用番号の付け方

もう一つ、スライドでよく迷うのがEZRの引用番号の表記です。

EZRの右側に引用番号を上付きで記載します。

※上の画像では誤って下付きになっていますが、正しくは上付きです。



「いちかっこ」の部分を左クリック長押しで選択します。

そのまま、フォント欄の右下にある小さな矢印をクリックします。



表示された画面で上付きを選択し、OKをクリックします。

相対位置は初期設定の30%のままで問題ありません。


EZRの引用について

EZRの公式サイトには、論文でEZRを使用した場合は引用してくださいと記載されています。

学会発表では必須ではない場合もありますが、
引用を入れておくと安心です。

引用先は次の論文です。
『Bone Marrow Transplantation 2013: 48, 452–458』です。


上でお示しした画像と同じです。
記載例は「いちかっこ」でご説明しましたが
スライドでは3番目でしたので
「さんかっこ」になっています。

学会発表スライドで統計結果を書くときの基本

統計結果の書き方の例

学会発表のスライドでは、統計結果をシンプルに整理して書くことが大切です。

たとえば次のような書き方です。

例)
歩行速度は介入群1.2 m/s、対照群1.0 m/sであり、t検定を行った結果、有意差を認めた(p=0.03)。

このように、統計結果を書くときは基本的に次の3つを押さえます。
  • 代表値を書く
  • 検定方法を書く
  • p値を書く

この3つを書けば、統計結果として必要な情報はひととおり伝わります。

実例で見る|学会発表スライドの統計結果の書き方

スライドでは、文章で結果を書くよりも

グラフ+p値

のようにシンプルにまとめることが多いです。

検定方法はスライドに書かず、口頭で説明する方法もよく使われます。

私が実際に学会発表で使ったスライドです。


相関分析の場合は、

p値と相関係数(r)を一緒に記載します。

例)r = 0.45, p = 0.02

私が実際に学会発表で使ったスライドです。


データが多い場合は、表でまとめる方法もよく使われます。

その場合は、表の右側などに
  • p値
  • n.s(有意差なし)

などを記載します。


私が実際に学会発表で使ったスライドです。

有意水準と有意確率の書き方

有意水準と有意確率は、名前が似ているため混乱しやすいポイントです。
学会発表のスライドや抄録を書くときにも、「どちらを書けばいいの?」と迷うことがあります。

まず、それぞれの意味を整理しておきます。

有意水準

0.05や0.01など、「この値未満なら有意差ありと判断します」という基準のことです。


有意確率

統計検定を行った結果として出てくる、実際のp値のことです。
例えば、0.032や0.52などがこれにあたります。

まとめると、
  • 有意水準:有意と判断するための基準
  • 有意確率:検定の結果として出てくるp値

という違いがあります。

学会発表では、

  • 方法の部分 → 有意水準を書く(例:有意水準5%とした)
  • 結果の部分 → p値を書く(例:p=0.03)

という形で使い分けることが一般的です。

よくある間違い

学会でよく指摘されているのが、「有意水準は p<0.05 とした」という書き方です。

有意水準は、有意と判断するための基準の値です。

そのため、「有意水準5%(0.05)とした」のように書くのが一般的です。

p<0.05 は結果を示す表現なので、方法の部分では「有意水準5%とした」と書いておくと安心です。

平均値と中央値の使い分け(ノンパラメトリック検定)

結果の欄に平均値を載せるのか、中央値を載せるのかで迷うことがあります。

基本的には、データの分布に合わせて決めます。


正規分布している場合

→ 平均値 ± 標準偏差


正規分布していない場合(ノンパラメトリック検定を使用)

→ 中央値(25%点-75%点)


中央値は、外れ値の影響を受けにくいため、正規分布していないデータではこちらを使うのが一般的です。

実際のスライドでは、私は👇のように記載しました。

mean or medianと書かれていますが、平均値と中央値という意味です。

私が実際に学会発表で使ったスライドです。

p値の書き方(p<0.05? p=0.032?)

p値はどう書くのが正解なのか、迷うことがあります。

例えば、次のような書き方をよく見かけます。
  • p<0.05
  • p=0.032
  • p<0.001

実はこの部分は、指導者や学会のルールによって少し変わることがあります。

例えば私は、このときのスライドでは p<0.05 と記載しています。


一方で、別の発表では実際のp値を書いたこともあります👇



一般的には、
  • 有意差があることだけ示す場合 → p<0.05
  • 検定結果を正確に示す場合 → p=0.032

という書き方が使われます。

特に指定がない場合は、検定で得られた実際のp値(p=0.032など)を書いておくと無難です。

学会発表で使える統計の書き方テンプレート

そのまま使える文章例を記載します。
抄録やスライド作成の際の参考にしてみてください。

統計方法の例(方法:Methods)

統計解析にはEZRを使用した。
群間比較にはMann–Whitney U検定を用いた。
有意水準は5%とした。

統計結果の例(結果:Results)

平均値を使用する場合

歩行速度は、介入群 1.2±0.3 m/s、対照群 1.0±0.2 m/s であった。
t検定を行った結果、群間に有意差を認めた(p=0.01)。


中央値を使用する場合

歩行速度の中央値は、介入群 1.2 m/s、対照群 1.0 m/s であった。
Mann–Whitney U検定を行った結果、群間に有意差を認めた(p=0.03)。

まとめ|統計結果は「検定方法・代表値・p値」を書けばOK

ここまで、学会発表の抄録やスライドで使える
統計方法と統計結果の書き方をご紹介しました。

統計結果を書くときは、次の3つが入っていれば基本的に問題ありません。
  • 検定方法
  • 代表値(平均値または中央値)
  • p値

この3つを押さえておけば、
統計の書き方で大きく迷うことは少なくなります。

学会でよく指摘される統計のポイント

学会発表では、統計の細かい表記よりも、分析の考え方について指摘されることが多いです。
私が実際に学会で見かけた指摘としては、次のようなものがあります。

①平均値と中央値の使い分け

正規分布していないデータなのに、平均値±標準偏差で示していると指摘されることがあります。

その場合は、
  • 正規分布 → 平均値 ± 標準偏差
  • 非正規分布 → 中央値(25%点 ー 75%点)

という基本に沿って整理するとよいでしょう。

正規分布の確認方法や、t検定を使う前提については👇の記事で解説しています。



②検定方法がデータに合っていない

例えば
  • 非正規分布なのに t検定
  • 対応のあるデータなのに 対応なし検定

などは、質問を受けやすいポイントです。


正規分布していない場合は、Mann–Whitney U検定などのノンパラメトリック検定を使用します。



対応のある・対応のないについては👇の記事でまとめています。



③サンプル数(n)が書かれていない

結果のスライドで意外と指摘されるのが、n数が分からないケースです。

例えば
  • 介入群(n=20)
  • 対照群(n=18)

のように書いておくと、聞き手にも分かりやすくなります。

評価から統計へ|EZRは臨床の延長線上にある

統計解析は、突然どこかから始まるものではありません。
すべては、日々の臨床で行っている「評価」から始まります。 

私自身、SPPBのような評価を丁寧に続けてきたことが、 統計解析(EZR)へとつながりました。 

評価から統計へつながる入り口としてのSPPBについては、 👇の記事でやさしく解説しています。


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本サイト「理学療法士かずの評価と統計のやさしい処方箋」は、理学療法士かずが運営しています。

臨床の現場で感じてきた「ここが分からなくて止まる」を大切にしながら、学会発表や統計の学びに役立つ記事を書いています。

「難しそう…」と手が止まったときに、「まずはここだけやってみよう」と思える。
そんなきっかけをお届けできたらうれしいです。


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