EZRで2群の差をノンパラメトリック検定で解析する手順|ウィルコクソン・マンホイットニーをやさしく解説

2026/02/01

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はじめに(2群のノンパラメトリック検定編)

「t検定をしようと思ったけど、正規性を確認したの?と言われた」
「ノンパラメトリック検定という検定があると聞いたけど……もう正直よく分からない」

統計アレルギーになっていませんか?

統計の勉強を始めた方ほど、
『t検定じゃない方法が出てきた時点で不安になる』
ということは、実はとてもよくあります。

ですが、安心してください。
ノンパラメトリック検定は、
t検定が使えないときの代わりではなく、条件に合った「正しい選択肢」です。

EZRでは、フローチャートに従って進むだけで
  • ウィルコクソンの符号付順位検定
  • マンホイットニーのU検定
といったノンパラメトリック検定も、クリック操作だけで実行できます。

ただし、ここでも大切な前提があります。
「2群だからこれ」
「t検定じゃなかったからノンパラメトリック」
と、なんとなく選んでしまうと、解釈を間違える可能性があります。

この記事では、
  • t検定との違いは何か
  • フローチャートで「なぜ」ノンパラになるのか
  • ウィルコクソンとマンホイットニーとは、どう使い分けるのか
を、統計が苦手な方でも「あ、だからこの検定なんだ」と腑に落ちるように、
やさしく丁寧に解説していきます。

最後までお読みいただければ、EZRで迷わずノンパラメトリック検定を選べるようになるはずです。

対応のある標本の差の検定

対応のあるt検定 vs ウィルコクソン符号付順位和検定

上記のフローチャートを見てください。

平均に意味があり、かつ正規分布に従うか?
これが「No」の場合、ノンパラメトリック検定の1つである「ウィルコクソン符号付順位和検定」を選択します。

「ウィルコクソン符号付順位和検定」の具体例

フレイルを疑われる透析患者20名が握力のトレーニングを1ヶ月行った。
トレーニング前後での握力を測定し、介入前後で差があるかを検討した。
そこで、前のデータと後のデータでシャピローウィルク検定を行ったところ、後のデータでp<0.05となった。
そのため、対応のある2群間の比較として、ウィルコクソン符号付順位検定を用いて、トレーニング前後の握力に差があるかを検討した。

EZRでウィルコクソン符号付順位和検定を行う実際の手順

  1. 統計解析
  2. ノンパラメトリック検定
  3. 対応のある2群間の比較(Wilcoxon符号付順位和検定)
の順に選びます。


  1. 第1の変数(トレーニングのデータ)
  2. 第2の変数(トレーニングのデータ)
を選びます。

それ以外はいじらず、OKをクリックします。



p値は赤線の部分を見ます。
検定結果の一番下に出てきます。

今回の例では、p値=0.00226
つまり、p<0.05

有意差ありと判定します。


対応のない標本の差の検定

対応のないt検定 vs マンホイットニー U検定


上記のフローチャートを見てください。

平均に意味があり、かつ正規分布に従うか?
これが「No」の場合、ノンパラメトリック検定の1つである「マンホイットニー U検定」を選択します。

「マンホイットニー U検定」の具体例

フレイルを疑われる透析患者、男性10名、女性10名の握力の差を検討したい(男女差があるかどうかを見たい)。
まず、男性群・女性群それぞれの握力データについてシャピローウィルク検定を行ったところ、女性群のデータで正規性が確認されなかった(p<0.05)。
そのため、対応のない2群間の比較として、「マンホイットニー U検定」を用いて、男女の握力に差があるかを検討した。

EZRでマンホイットニーU検定を行う実際の手順

  1. 統計解析
  2. ノンパラメトリック検定
  3. 2群間の比較(Mann-Whitney U検定)
の順に選びます。


  1. 目的変数(比較したいデータ;握力など)
  2. 比較する群(糖尿病の有無や男女など2つに分けた群)
を選びます。

それ以外はいじらず、OKをクリックします。



p値は赤線の部分を見ます。
検定結果の一番下に出てきます。

今回の例では、p値=0.00163
つまり、p<0.05

有意差ありと判定します。


まとめ

2群の差を検定したい場合、データが正規分布に従わないと判断されたときには、ノンパラメトリック検定を用います。

✅同じ対象を前後で比較するなど、対応がある場合
 → ウィルコクソン符号付順位検定

✅男女差の比較など、対応のない2群を比較する場合
 → マンホイットニーU検定


⚠️注意点

ここまでご説明してきた「正規分布の検定→差の検定」といった順番で検定を行うことを「多重検定」といいます。
近年はこの「多重検定」を避ける傾向にあります。

ですが、以前はこの記事で説明したような手順で検定を行っておりました。
よって、指導教官や学会発表によっては
  • 正規分布は確認した?
  • 等分散性は見たの?
と質問されることもあります。

本記事ではそのような背景を踏まえて、「正規分布の検定→差の検定」といった手順をご説明いたしました。

評価から統計へ|EZRは臨床の延長線上にある

統計解析は、突然どこかから始まるものではありません。
すべては、日々の臨床で行っている「評価」から始まります。 

私自身、SPPBのような評価を丁寧に続けてきたことが、 統計解析(EZR)へとつながりました。 

評価から統計へつながる入り口としてのSPPBについては、 👇の記事でやさしく解説しています。

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