「スリッパ・サンダルは転びやすい履きものである」と根拠をもって説明できるようになる話

2024/09/09

転倒予防 履きもの

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「スリッパ・サンダルは転びやすい履き物である」と根拠をもって説明できるようになる話。


※本記事はアフィリエイト広告を利用しています。

本記事で伝えたいこと

転ぶ危険性を減らすには…
①スリッパやサンダルをさける。
②つま先が上がっていて、かかとがしっかり入るタイプの靴を選ぶ。

 
こんにちは。
理学療法士のわい爺です。
私は2006年に理学療法士免許を取得しました。
本記事をお読みのみなさまに、わたしのこれまでの体験からえられた知見を共有いたします。

今回はスリッパ・サンダルのお話です。
スリッパ・サンダルは、年齢とともに転ぶ危険の高いはきものに変わっていきます。
 
わたしの職場でも、転入時に「スリッパやサンダルはやめて、かかとが入る靴にしてください」というアナウンスをしています。

スリッパやサンダルは、気軽に履けるので、ごみ出しなどちょっと外に出るときや、近所へ出かけるときに便利です。
スリッパやサンダルで転んだり、危ない思いをしたことのない人にとっては、なぜそんな便利なはきものを制限するのか?と思ってしまうのも仕方ありません。

わたしも「なんでスリッパやサンダルじゃダメなの?」って聞かれます。
そういうときに重視するのはその根拠。

根拠のある説明ができると納得していただける割合が高いと経験しています。


本記事では

  • わたしがスリッパ・サンダルは転びやすい履きものであると理解できた道筋

  • 靴のぬぎはきでわたしが経験した問題

  • Xでの発信とみなさまの反応

についてお話いたします。

ご両親や高齢の知人、患者さんや利用者さんに説明するときに役立つ内容になっていますので、ぜひ最後までごらんください。


わたしが理解できた道筋

まず、集めたいのは信頼性の高い情報。
東京都が統計を発表していました。
 
つぎに参考にしたいのは論文や病院のサイト。
根拠のある情報を集めることで、ただしく説明できるようになります。

それぞれにリンクを貼っておきますので、ご興味のある方はごらんください。

それでは、東京都の統計をみていきましょう。

スリッパやサンダルは他の靴と比べて転びそうになったり、実際に転んだ件数が多い

ヒヤリ・ハットや危害経験が最も多く発生していた履物は「サンダル (つっかけ) 」で、490人 (39.7%) となり、ヒヤリ・ハットや危害件数は1,087件 (32.1%) である。次いで「スリッパ等室内履き」が384人 (31.1%) で805件 (23.8%) であった。



出典を元に筆者が作成

出典:東京くらしWEB、ヒヤリハット調査「シニア世代における衣服・履物の危険」、平成26年9月

 
調査対象は60歳以上の3,000名です。
これだけでも、質の高い根拠といえます。
グラフをみると、スリッパ・サンダルの2つだけ飛びぬけていますね。
 
Q:なんでスリッパやサンダルをはいたらダメなの?

A:東京都の統計によると、スリッパやサンダルは、ほかの靴とくらべて転んだり転びそうになったりする件数が圧倒的におおいことがわかっています。

このように答えることができますね。
次なる質問は、どうしてスリッパやサンダルだと転びやすいの?です。

スリッパを履くとすり足になる

スリッパが脱げないように歩こうとすると、足を前に振り出したときに足の趾を下に向けて曲げ、スリッパを押さえなければなりません。
そのため、すり足のような歩き方になり、つまづきやすく転倒しやすくなってしまいます。



Q:どうしてスリッパやサンダルだと転びやすいの?

A:脱げないように歩こうとすると、すり足に近くなってしまい、つまずきやすくなるからです。

このように答えることができます。
だいぶいい調子です。

話が順調に進むと、「じゃあ、どんな靴がいいの?」という話になります。

つま先が上がっていて、かかとがしっかり入る靴を選んで下さい

つま先が上がっている靴を選ぶことで、つまずいて転ぶ危険性を減らすことができます。
かかとがしっかり入って固定できれば、脱げる心配をしなくて良く、すり足になることも防げます。

オーダーメイドができるのであれば、それに越したことはありません。
そうでない場合、一般的に靴を選ぶ際のポイントを記載します。

  • かかと部分がある
  • つま先の余っているスペース
     大人 ;1.0~1.5cm
     子ども;1.0~1.4cm
  • 足幅があっている(ひもやベルトはしっかりしめる)
  • 軽い
  • つま先が上がっている
  • つま先がやわらかく曲がる
  • 靴の入り口が広く履きやすい
  • 靴の中のインソールが厚く、土踏まずの形になっている
  • 靴裏のクッションが効いており、細くない
  • 履いていて痛みがない

このような靴を履くことをオススメします。
 
ここで話が終わればとてもスムーズです。

ですが、臨床はそんなに簡単ではありません。
まだまだ問題が出てきます。

私の経験してきた問題

バランスや筋力が弱っているときは、座ってぬぎはきすることをオススメする

バランスや筋力が弱っているからこそ生じる問題。
それは、立ち上がるのが大変だということ。

通常、バランスや筋力が弱っているときは、転ぶ危険があるので、イスに座って靴のぬぎはきをするようおススメします。

バランスや筋力が弱っていることは数値で客観的にお伝えします。
そういったときは、SPPBという評価法が有用です。

▼参考記事
 
数値を使って説明すると、ご理解いただけることが多い印象を持っています。
 
ですが、いくら数値で示したからといって、みんながみんな受け入れてくれるわけではありません。

  1. 立ち上がるのが大変
  2. (自分が弱っているとか転ぶ危険があるとかは、いったん置いといて)
  3. 立ったまま靴をぬぎはきしたい
  4. だから、簡単にぬぎはきできるもの(スリッパやサンダル、かかとを踏む)が良い

こういった話の展開になります。
真っ向から否定すると、もうわたしの話を聞いてもらえなくなります。

こういったときはお話をききながら、妥協点を探っていきます。

まず聞く

お話を聞きます。
なぜそう思うのか。
わたしの説明を受け入れる余地はないのか。

こういったときに「転んでケガしますよ。ひどい時は骨折して入院して大変なことになってしまいますよ。」とおどかしてしまいたくなる気持ちもわかります。

わたしの経験ですと、ここまでスムーズに話が進まなかった場合、おどかしてもあまり効果はありません。

ご本人の意見を尊重し、いったんゆずることも一案。
押せば押すほど、「かたくなになる」ことがあります。
ゆずった数日後に、考え直して説明を受け入れてくれることもありました。

お話を聞きながら、ゆずるところはゆずり、安全への優先順位をつけて妥協点を探っていきましょう。
妥協点としては以下のような内容が考えられます。

環境調整

①立ったままでも履きやすく、上でお伝えした条件をみたす靴をさがす。

わたしはブログを始めてから、転倒予防に関係しそうな広告サイトを見て回っていますが、その中で立ったまま履ける靴が紹介されていました。

▼外部リンク
1秒で履ける靴

このような靴を応急処置的に購入いただくことも1つの妥協点になります。


②玄関にイスが置けるようにする

▼参考記事

立ち上がるのが大変というのは、必ずしもイスからとは限りません。
玄関の上がりかまちが低くて、1回座ると立ち上がるのが大変だから立ったままぬぎはきしたいというパターン。


 
もしくは、玄関が散らかっていて、イスを置くスペースがないから、立ってぬぎはきするしかないというパターンもあります。

何から立ち上がるのが大変なのか。
環境の調整で解決できる問題であれば、さっそくできる範囲から取りかかりましょう。

同時に運動も取り入れましょう

バランスや筋力のトレーニングをお伝えする。

立ち上がるのが大変ということは、バランスや筋力が弱っていると考えられます。
もちろん、運動の可否を決定するのは医師です。
医師へ確認のもと、生活の中に運動を取り入れましょう。

▼参考記事

立ち上がりが大変な状態をそのままにしていても、バランスや筋力が向上するわけではありません。
運動を取り入れて、立ち上がりがやりやすくなることを目指してください。

トイレとベランダ、室内履き

問題はまだまだあります。
トイレとベランダです。
 
トイレのスリッパやサンダルは「どうしても」というこだわりがなければ、使わないよう伝えます。

ベランダは半分屋外なので、とても難しい問題です。
ベランダこそ先ほど紹介したような立ったまま履ける靴を使用してほしい場面です。

室内履きは、「どうしても」というこだわりがあるならば、かかとのあるタイプへの変更を提案します。
こだわりがなければ、すべり止めのついている靴下はいかがでしょうかとおススメします。

読者のみなさまの経験もお教えくださると、今後のためになりますので、お問い合わせやX(https://x.com/pt_no_YZ1717)からご連絡お願いいたします。

では、Xで発信していきます





スリッパ、サンダルの危険性を定期的にポストしています。
ご同意のコメントをいただけたり、ご自身のエピソードをお話しくださったり、たいへん参考になります。
 
これからもお役に立ちますよう発信してまいります。

まとめ

  • スリッパやサンダルは転ぶ危険性の高い履きもの。

  • 臨床ではいろいろな問題に出くわすが根拠をもって説明にあたり、ときには妥協点をさぐっていく。

  • Xでの注意喚起も有効。


最後までお読みいただきありがとうございました。

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