EZRで対応のない2群の差を検定する方法|t検定・Welch・マンホイットニーをやさしく解説

2026/03/30

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EZR 対応のない2標本の差の検定 t検定 マンホイットニーのU検定 解説

はじめに(対応のない2標本の差の検定編)

「t検定を使えばいいと思っていたけど、本当にそれで大丈夫?」
「正規性とか等分散性とか言われて、手が止まってしまった…」

そんな経験はありませんか?

統計を学び始めたとき、
「t検定の前に確認することがある」
と知った瞬間に、難しく感じてしまう方はとても多いです。

ですが、安心してください。

t検定はただ使うのではなく、
データの性質に合わせて使うことで、正しく意味を持つ検定です。

この記事では、EZRを使って
  1. 正規性の検定(Shapiro-Wilk検定)
  2. 等分散性の検定(F検定)
  3. t検定(通常のt検定/Welchのt検定)
  4. マンホイットニーのU検定

を、フローチャートに沿って順番に解説していきます。

「なぜこの検定を選ぶのか」が分かるようになることで、自信を持って解析できるようになるはずです。

結論(先に知りたい方へ)

  • 正規性あり × 等分散あり → t検定  
  • 正規性あり × 等分散なし → Welchのt検定  
  • 正規性なし → マンホイットニーU検定  

迷ったらこの3つだけ覚えておけばOKです。

対応のない2標本の差の検定

対応のない2標本の差を検定する場合、まずは以下の流れで検定を選択します。

👉 正規性の検定(Shapiro-Wilk検定)

 → 正規性あり → 等分散性の検定(F検定)

  → 等分散あり → t検定

  → 等分散なし → Welchのt検定

 → 正規性なし → マンホイットニーU検定

まずは、以下のフローチャートを見てみてください。
「なぜこの検定になるのか」が一目で分かります。


① 正規性の検定:シャピローウィルク(Shapiro-Wilk)検定

t検定を行う前に、データが正規分布に従っているかを確認します。

なぜなら、t検定は「データが正規分布に近いこと」を前提にした検定のため、事前に確認が必要です。

EZRでは、

統計解析
→ 連続変数の解析
→ 正規性の検定(Kolmogorov-sminov検定)

の順に選択します。



対応のない2標本の場合は、群分けしたデータを別々に検定します。

画像では「性別の0群・1群」を例としています。

👇の画像は性別の0群の場合です。
  1. 変数欄は、比較したいデータ(画像では握力)
  2. 一部のサンプル欄は「性別==0(イコール2つと数字の0)」と入力
  3. OKをクリック



OKをクリックすると検定結果が出力されます。

p値は一番下です。


👆の画像を拡大したのが👇の画像です。



次は、もう一方の群で正規性の検定を行う手順を解説します。

基本的にはこれまでの方法と同じです。

👇の画像は性別の1群の場合です。
  1. 変数欄は、比較したいデータ(画像では握力)
  2. 一部のサンプル欄は「性別==1(イコール2つと数字の1)」と入力
  3. OKをクリック


OKをクリックすると検定結果が出力されます。

p値は一番下です。



👆の画像を拡大したのが👇の画像です。



検定結果のp値を確認し、
  • 2群とも p ≥ 0.05 = 2群とも正規性あり② 等分散性の検定(F検定)に進む

  • どちらか一方でも p < 0.05 = どちらか一方でも正規性なし⑤ マンホイットニーのU検定に進む

と判断します。

ここから、2群ともにp ≥ 0.05だった(正規性が確認できた)場合の次のステップについて解説します。

② 等分散性の検定(F検定)

2群とも正規性が確認できた場合、次に2群のばらつきが同程度かどうか(等分散性)を確認します。

なぜなら、2群のばらつきが大きく異なると、通常のt検定では正しく比較できないため、等分散性を確認します。

EZRでは、👇の画像の通りに

統計解析
→ 連続変数の解析
→ 2群の等分散性の検定(F検定)

の順に選択します。



👇解析したいデータと群を選びます。
(画像の例は握力と性別です)



👇検定結果は一番下に表示されます。



👇p値を見ます



検定結果のp値を確認し、
  • p ≥ 0.05 → 等分散あり③ t検定(等分散と考える場合)に進む

  • p < 0.05 → 等分散なし④ t検定(Welchの検定)に進む

と判断します。

③ t検定(等分散と考える場合)

等分散性が確認された場合、通常のt検定を使用します。

「t検定」の具体例

フレイルを疑われる透析患者、男性10名・女性10名の握力の差を検討したい。
Shapiro-Wilk検定の結果、両群ともに正規性が確認され、
F検定の結果、等分散性も確認された(p ≥ 0.05)。
そのため、対応のない2群間の比較として、t検定を用いて男女の握力の差を検討した。

EZRでt検定を行う手順

👇の画像の通りに、

統計解析
→ 連続変数の解析
→ 2群間の平均値の比較(t検定)

の順に選択します。



👇解析したいデータと群を選びます。
  • 目的変数(1つ選択):比較したいデータです(画像では握力)。
  • 比較する群:比較したい群「0と1」のデータです(画像では性別)。
  • 等分散と考えますか?の欄は、「はい」を選択します。



👇検定結果は一番下に表示されます。



👇p値を見ます



👇グラフも同時に出力されます。



※ グラフをパワーポイントに貼り付けて編集する手順は👇の記事で解説しています。


④ Welchの検定(等分散と考えない場合)

両群で正規性が確認できた
かつ
一方、または両群とも等分散性が確認できなかった(F検定;p<0.05)場合

Welchの補正を行ったt検定を使用します。

「Welchの検定」の具体例

Shapiro-Wilk検定では正規性が確認されたが、
F検定の結果、等分散性が確認されなかった(p < 0.05)。
そのため、Welchのt検定を用いて2群の差を検討した。

EZRでWelchの検定を行う手順

👇の画像の通りに、

統計解析
→ 連続変数の解析
→ 2群間の平均値の比較(t検定)

の順に選択します。



👇解析したいデータと群を選びます。
  • 目的変数(1つ選択):比較したいデータです(画像では握力)。
  • 比較する群:比較したい群「0と1」のデータです(画像では性別)。
  • 等分散と考えますか?の欄は、「いいえ(Welch検定)」を選択します。



👇検定結果は一番下に表示されます。



👇p値を見ます



👇グラフも同時に出力されます。



※ グラフをパワーポイントに貼り付けて編集する手順は👇の記事で解説しています。


⑤ マンホイットニーのU検定

正規性が確認できなかった場合は、
❌ パラメトリック検定であるt検定は使用せず、
🙆 ノンパラメトリック検定を選択します。

対応のない2群の場合は、マンホイットニーのU検定を用います。

「マンホイットニーのU検定」の具体例

Shapiro-Wilk検定で両群(または一方の群)で正規性が確認されなかった(p<0.05)。
そのため、マンホイットニーのU検定を用いて2群の差を検討した。

EZRでマンホイットニーのU検定を行う手順

👇の画像の通りに、

統計解析
→ ノンパラメトリック検定
→ 2群間の比較(Mann-Whitney U検定)

の順に選択します。



👇解析したいデータと群を選びます。
  • 目的変数(1つ選択):比較したいデータです(画像では握力)。
  • 比較する群:比較したい群「0と1」のデータです(画像では性別)。
  • OKをクリックします。



👇検定結果は一番下に表示されます。



👇p値を見ます



※マンホイットニーのU検定では、平均値ではなく「中央値(四分位範囲)」で結果を示すのが一般的です。

👆の画像だと、メディアン(25%-75%)の数値を使います。

👇グラフも同時に出力されます。



※ グラフをパワーポイントに貼り付けて編集する手順は👇の記事で解説しています。


まとめ

EZRで対応のない2標本の差を検定する場合、以下の流れで検定を選択します。
  • 正規性あり × 等分散あり → t検定
  • 正規性あり × 等分散なし → Welchのt検定
  • 正規性なし → マンホイットニーU検定

このように、データの性質に合わせて検定を選ぶことが重要です。

⚠️注意点

ここまでご説明した「正規性の検定 → 等分散性の検定 → 差の検定」
という流れは、「多重検定」と呼ばれます。

近年では、このような手順を避ける考え方もありますが、
実際の現場や学会発表では、
  • 正規性は確認した?
  • 等分散性は見たの?

といった質問を受けることも少なくありません。

本記事では、そのような背景を踏まえ、
実務で求められることの多い手順として解説しています。

最後に

統計は、「正しい手順」を知るだけで、ぐっと身近になります。

フローチャートに沿って進めることで、迷わず検定を選べる状態を目指していきましょう。

評価から統計へ|EZRは臨床の延長線上にある

統計解析は、突然どこかから始まるものではありません。
すべては、日々の臨床で行っている「評価」から始まります。 

私自身、SPPBのような評価を丁寧に続けてきたことが、 統計解析(EZR)へとつながりました。 

評価から統計へつながる入り口としてのSPPBについては、 👇の記事でやさしく解説しています。


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臨床経験を生かしつつ、学会発表や統計の学びに役立つ記事を執筆しています。
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