【まとめ記事】転倒に関する備忘録【調べたこと・発信したこと】

2024/04/26

まとめ記事 原因と対策

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【まとめ記事】転倒に関する備忘録【調べたこと・発信したこと】




 こんにちは。
 理学療法士のわい爺です。
 私は2006年に理学療法士免許を取得しました。
 本記事をお読みの皆様に、私のこれまでの体験から得られた知見を共有いたします。

 長くこの業界で働いていると、転んでケガをしてしまった方と多く関わります。
 「ないもない所でつまずいた」
 「あわてていてひっくり返った」
 「ふらついて足のふんばりがきかなかった」
 理由は人それぞれ。

 どうすれば患者さん、利用者さんの転倒が予防できるのか、私の悩みの種です。
 転倒するとケガをしたり、ひどい時には骨折して長期の入院になってしまいます。
 手術をして無事に退院できたとしても、歩くのが大変になっていたり、日常生活に支障をきたしたり、外出ができなくなったり、趣味活動ができなくなったり。

 私の現在の役割は主に
  • 転倒のリスクを早期に発見する
  • 転倒の対策(運動や住宅環境など)を助言する

 教科書、論文(日本語も英語も)を頑張ってたくさん読んでいます。
 学べば学ぶほど、転倒の原因の多さに驚かされます。

 今回の記事は自分の体験に加え、調査した内容を記載し、読者の皆様にも役立つ記事となるよう
  • なぜ転ばない方が良いのか
  • 人が転んでしまう原因と対策

 を地域に住まう高齢者を対象としてご説明いたします。
 私の備忘録も兼ねていますので、ご意見等ございましたらお問い合わせからお願いいたします。

 私は現在、この記事とリンク先で記載している内容の助言を行っています。
 助言を受け入れてくださる方も増え、運動指導の質も徐々に向上していることがわかります。多職種を交えた会議でもわかりやすい言葉に落とし込み、その場にいる方に伝わりやすいように話すことができてきています。

転倒(転ぶこと)の定義

他人による外力、意識消失、脳卒中などにより突然発症した麻痺、てんかん発作によることなく、不注意によって、人が同一平面あるいはより低い平面へ倒れること


 有名な転倒の定義といえば、Gibsonによる定義。
 同一平面へ倒れることと書かれているので、厳密にいえばよろめいて壁にもたれかかってしまうことも転倒になります。

 これに加えて、足底以外が触れると明確に定義している論文(参考文献⑤)もあります。


なぜ転ばない方が良いのか

ケガをするから


出典を基に筆者が作成


 
 自宅で転んだ高齢者の3人に2人は何らかのケガをしてしまいます。
 打ちどころによっては、骨を折るなどの大ケガをしてしまうかもしれません。
 転ばないための対策は、ケガを防ぐうえで重要です。

自立した生活が続けられなくなるかもしれないから


出典を基に筆者が作成(四捨五入の関係で合計が100.1になっています)

出典:内閣府 令和4年版高齢社会白書


 自立した生活を妨げてしまう原因の第4位が「転倒・骨折」となっています。
 第1位~第3位も転んでしまう危険の高い状態です。
 転ばないための対策は、自立した生活を続けるうえで重要です。

悪循環を引き起こすから

 転ぶことで、上の図のような悪循環におちいる危険があります。
 少しずつ自立した生活が難しくなっていきます。
 悪循環をどこかで断ち切らなければなりません。
 転ばないための対策は、この悪循環を断ち切る意味でも重要です。

 ここからは、転ぶ原因と対策をご説明いたします。

人が転んでしまう原因と対策

 人が転んでしまう原因は、個人の問題(内的要因)と環境の問題(外的要因)の2つに分けられます。

個人の原因

【バランス(平衡覚)の低下】

 ▼参考記事

【姿勢が悪くなった】

 ▼参考記事

【動きがゆっくりになった(運動速度の低下)】

 ▼参考記事

【筋力が衰えた(筋力の低下)】

 ▼参考記事

【杖、シルバーカー、歩行器などの補助具に問題がある】

 ▼参考記事

【転ぶことへの恐怖心がある】



【感覚の低下】

  • めまいがする。
  • 目が見えにくくなった(視覚の低下)。
  • 耳が聞こえにくくなった(聴覚の低下)。


【認知症または軽度認知機能障害がある】

 

注意力・認知力・判断力が低下するため転倒のリスクがある。

 レビー小体型認知症は、パーキンソン病と同様の動作困難が生じたりする。


【自律神経の問題がある】

 起立性低血圧のため、起きたり立ち上がったりしたときに立ちくらみがある。
  • ゆっくり起き上がるようにする
  • ゆっくり立ち上がるようにする
  • 病院で相談する
 
 尿もれがある。
  • 病院で相談する


【転びやすい病気にかかっている】

 パーキンソン病や、パーキンソン症状が現れるレビー小体型認知症、脳卒中など。
 病気の治療は医師の指示に従う。
 受診時に運動をした方が良いか、するとしたらどのような運動が良いか確認する。
 もし、いつも行っている運動があるなら継続してよいかどうかも確認する。


【飲んでいる薬の影響がある】

お薬については、服用を止めたり量を減らせば、比較的短期間で、転びやすい状態ではなくなる場合もありますので、かかりつけ医に相談するとよいと思います。特にお薬を一日に6剤以上飲んでいる方はポリファーマシーという状態で、有害な出来事が起きやすく、転倒の発生率が高いことも報告されています。

 
 薬は自己判断で中止せずに、必ず医師・薬剤師に相談する。

 高齢者に副作用が増える理由は
  • 服用する薬の数が多いこと
  • 肝臓や腎臓の働きが低下するため
     薬の代謝分解が遅れて効き目が必要以上に長引く
     薬の排泄が遅れて薬が体内に長く残り、薬が効き過ぎてしまう


【栄養不足】



【ビタミンDが不足している】

▼参考記事

【痛みがある】

 ▼参考記事

環境の原因

【段差や障害物がある】

 段差は段差解消材の導入を検討する。
 1~2cmの低い段差でもつまずいてしまう。
 
 足を上げた方が筋肉が鍛えられるから段差はそのままの方が良いという人もある。
 自宅はくつろいで安心できる場所なので、この説は賛否両論。
 自分の立場を決めておいた方が良い。

 障害物は
  • そこにすでにあるもの
  • まわりから崩れ落ちてくるもの

 の2つが考えられる。
 すでにある障害物(電気コードなど)は片づける。
 めくれやすいカーペットはすべり止めをしく。
 玄関マットはその必要性を検討する。必要なければない方が良い。

 廊下や部屋のわきに積んであって、今後崩れ落ちる危険性があるものも撤去がオススメされる。ただし、立ち上がったり歩いたりするときにそこにつかまって転倒予防になっている可能性もあるので、撤去と同時に同じ場所に安全につかまれる物を用意する。


【片づけの問題】

 床にモノが落ちていると、それにつまずいたり滑ったりする危険がある。
 よく通る床には何も落ちていないように片づけをオススメする。

 ▼参考記事


【履き物の選び方が間違っている】

  • スリッパやサンダルは転びやすい履き物なので避ける。
  • 基本的にはかかとが固定でき、履きやすいタイプの靴をオススメする。
  • かかとのカーブが合っている。
  • 土踏まずが靴のアーチラインに合っている。
  • つま先が上がっており、柔らかくよく曲がる。
  • 靴ひもよりは、マジックテープ。
  • 軽く、クッションが効いているとなお良い。
  • サイズは足の大きさ+1cm。
  • 靴の裏がすり減っていないかを確認する。
    すり減っているようなら買い替えを検討する。

 ▼参考記事


【滑りやすい場所がある】

  • 水濡れしている場所は滑りやすい。
  • 自宅:キッチン、洗面所、お風呂、トイレなど水を使う周囲。
  • 屋外:雨の日のタイルや歩道の白線、マンホールのふた。
  • 店舗:野菜くずが落ちていたり、魚売り場、トイレ、製氷機、花売り場の周りが水濡れしている可能性がある。
 
 ▼参考記事

  
 入浴で気をつけたい点は
  • シャワーチェアや滑り止めマットを使用
  • 入り口の段差が高ければ、中に「すのこ」を設置
  • 浴槽が高ければ手すりの設置や浴槽内イスの設置
  • 浴槽のふちに腰かけられるようボードを設置
  • せっけんの泡はよく洗い流す
  • 脱衣所の床が濡れていないか確認


【家の中が暗い】

 自動で点灯する照明(フットライト)を設置することを検討。

 特に夜のトイレは危ない。
  • 寝起きで身体が思うように動かない。
  • 部屋が暗い。明かりをつけてもすぐに順応できない。
  • トイレに行きたくて焦っている。
 

【階段がある】



【手すりがない】



【坂がある】



【まわりの人の影響】

 ▼参考記事


転倒リスクを評価する方法

 SPPB (Short Pysical Performance Battery ) 

 
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転倒予防のヒントになる書籍

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転倒予防の知識を広めるために行っている私の活動

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 このブログが転ばないためにできる対策の参考になりましたら幸いです。

ご家族や知人に転んでほしくないと考えておられる方へ
 このブログをご紹介いただき、できる対策を一緒に考えるきっかけになれば幸いです。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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⑤猪飼 哲夫:高齢者における転倒の要因と対策,福祉のまちづくり研究第6巻 (1) ,2004

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